やさしいブラウザ・クラウド版はこちらからご利用下さい
  • こうべの食育

「ル*ル*ルプログラム」稲刈り体験

子どもたちに、食についての様々な経験の機会を提供するために、学校給食用の食材で「育てる」「収穫する」「食べる」の3つの「る」を体験する農業体験事業「ル*ル*ルプログラム」を実施しています。
今回は、西区櫨谷(はせたに)町の農業生産者・小池潤さん指導のもと、なぎさ小学校4年生の子どもたちが稲刈りを体験しました。

天高く秋の気配がする気持ちのいいお天気でした。

本当は5月に田植えも体験する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症対策のため中止になりました。
しかし、コロナが落ち着けば秋には稲刈りができるようにと、小池さんが子どもたちの代わりに苗を植えてくれていました。
田植えのときに、2,3本まとめて植えた苗が、夏にどんどん成長して株分かれし、秋には20本ぐらいのりっぱな稲に成長します。
今年は雨が多かったのですが、稲の生育は順調で、穂が重そうです。

小池さんから、鎌(かま)の使い方や注意点を聞きます。
 「稲をしっかり左手でもちます。鎌の先の方を根元にあてて、手前に引くようにして刈ります」
鎌は刃がギザギザになっていて、危険なのでとても気をつけなければいけません。

2人1組になって並んでいきます。1人が鎌で稲を刈り、もう1人がコンバイン(稲刈脱穀機)のところに持っていき、稲わらともみを分けます。
 「刈ってくださーい!」 と小池さんが合図します。
子どもたちは最初はこわごわと、ちょっと腰が引けて刈っていましたが、慣れてくると刈っていくスピードが上がっていきました。
 「おもしろーい!」
 「もっと刈ってええの?」
最初の打合せでは「全部刈るのは大変なので、残ったらコンバインで一気に刈るところを見せよう」と話していました。ところが、子どもたちはすごい勢いでどんどん刈っていき、あれよあれよという間にすべて刈ってしまいました。

ずらりとコンバイン待ちです。

小池さんも脱穀に大忙しです。

落ちている穂も大切なお米ですから、残らず拾います。

すっかりきれいに刈り取られました。

稲を刈ったあとには、カエル、コオロギ、バッタ、タニシなど、いろんな生き物が見つかります。子どもたちは興味津々です。
 「カエルがおるー!」
 「つかまえろー!」
 「みどり色のもおったよー!」

コンバインで分けたもみを倉庫へ運ぶためにトラックへ移します。

小池さんの米倉庫に移動し、もみを選別する機械や、脱穀機、袋詰めの機械など、いろいろ見せていただきました。
また、クイズや質問タイムなどもありました。
 「米袋は何キロありますか?」
 「一袋は30キロあって、君たちの体重と同じぐらいです。これは1年で君たちが食べるお米の量です。」
 「持ち上げてみたいー!」
 「うーーーん!全然持ち上がらへん!重いー!」

秋の味覚の「さつまいも」や「さといも」の畑、「みかん」の樹など、里山も案内していただきました。

 

すでに来年植える圃場(田んぼ)の準備が進んでいます。半年かけて土作りをおこないます。

最後は、小池さんへの質問タイム!
 「田んぼや畑は全部でどれぐらいの広さがありますか?」
 「40ヘクタール、甲子園10個分です!」
 「えぇーー!広いー!」
 「お米はどれぐらいでできるんですか?」
 「1年かかります。すでに来年に向けて、土作りの準備が始まっています。」
 「1年!1年もかかるの?」
 「いつから農家をやっているんですか?」
 「僕は20年ぐらいやっていますが、年に1回しかお米はとれませんので、まだ20回ぐらいしか作れてません。」
 「ほんまやー!20年やのに、まだ20回!」
 「家は代々農家で、1000年以上前からこの土地で農業をやっています。」
 「すごいー!ずっとー!?」
 「1000年前ってどれぐらい???」

その後、小池さんから大切なお話しです。
「今日の稲刈りでは、いろんな人がかかわって、いろんな作業があり、時間をかけて、米作りをしていることをわかってもらえたと思います。誰かがやらないと、お米は食べられない。あたり前に出てこない。そのことを忘れないで下さい。」

 
 

最後に子どもたちへ、1人につき2キロのコシヒカリのプレゼントがありましたが、いただく前にクラスごとに一芸を披露してもらうことになり、代表者が前に出て、頑張ってくれました。大笑いの中、無事にコシヒカリをいただくことができました。

小池さんの想い

米ははるか昔から食べられていて、20分もあればすぐ炊けるんです。松ぼっくりを燃料にしたり、川の水で炊いたり、炊飯器ではなく鍋でも釜でも炊いて食べることができる。パンは粉にして、練って、焼いてと、できあがるまでに時間がかかる。米はすぐその場で食べることができてお腹がいっぱいになる、とてもすぐれた非常食でもあるんです。本当はそれを知ってほしいので稲刈り後にご飯を炊いて、子どもたちに食べてもらいたかったのですが、新型コロナウイルス感染症対策の関係でできず、とても残念でした。
また、阪神・淡路大震災のときですが、壊滅的になった神戸の街から、西区に行けばお米があると、何時間もかけて僕の家まで歩いてきた人がいました。僕はすぐにお米を分けてあげました。ここに来れば食べられるものがある、誰かがちゃんと作っているということを覚えていてほしいと思ったんです。それを知ってもらえたら、自分も作ってみようと思う人が出てくるかもしれない。そのために、これからもずっと米を作り続けて、もっと知ってもらうための活動をどんどんしていきたいと思っています。

 

田んぼの近くで昼食を食べたあと、JA兵庫六甲 神戸西営農総合センターに移動し、施設の中を見学させていただきました。

収穫された「いちじく」が大きさや色、形などで分けられて、箱詰め(はこづめ)されていきます。

大きな「自動梱包機(じどうこんぽうき)」があります。段ボール箱の組立から箱詰め、梱包(こんぽう)まで、すべて自動で行われます。

冷蔵庫の中にも入りました。いろんな葉物野菜が積まれています。中は8℃前後に保たれています。

 
 

苗床。野菜の種が植えられています。

「神戸西育苗センター」は昨年大きな改修をしたばかり。
農家の高齢化に伴い、手間がかかる野菜などの苗作りを引き受けています。
今は「ブロッコリー」、「レタス」、「トマト」などの苗を種から育てています。
ここでは、野菜や花、果物など年間約130品種の苗作りをしています。

 

5月の田植えは残念ながらできませんでしたが、稲刈りは天候にめぐまれて、子どもたちは新型コロナウイルス感染症対策で我慢してきた分、思いっきり体を使って作業し、気分も晴れたのではないでしょうか。
また、楽しかっただけではなく、米や野菜にいろんな人がかかわって、時間をかけて作られていることがわかったと思います。誰かが作らないと米も野菜も食べられません。農家の方々が頑張って作ってくださっているからこそ、いつも食べ物に困ることなく、安心しておいしく食べることができています。
そのことを思い出し、感謝の気持ちをこめて、残さず食べてもらえたらと思います。

子どもたちの感想はこちら

PAGE TOP