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シリーズ⑭ ほうれんそう

●緑黄色野菜の代表
緑黄色野菜の代表として知られているほうれんそうは、βカロテンや鉄分が豊富で、その上、ビタミンC・B1・B2やカルシウムも多く含まれています。
ほうれんそうは冬が旬で、特に1月~3月に収穫されるものは、夏に比べるとビタミンCが3倍に増え、さらにβカロテン、鉄分なども冬の方が豊富です。また、栄養成分だけでなく、甘みもぐんと増し、とてもおいしくなります。
お話をうかがった、「こまつな」の回でもお世話になったJA兵庫六甲 こうべ旬菜軟弱野菜部会長の大谷さんの圃場では、この時期、同じく旬をむかえる葉物野菜の「きくな」、「みずな」とともに、多いときには合わせて1日200ケースほど(約1t)出荷されるそうです。
給食の献立では、1月「春雨スープ」、2月「さわにわん」、3月「野菜ソテー」などに「こうべ旬菜」のほうれんそうが使用されています。
写真は「剣葉ほうれんそう」という種類で、葉先が剣のようにとがっていて、切れ込みが深めです。食感はやわらかでアクが少なく甘みがあります。

西区平野町のほうれんそうハウス

●ほうれんそうの栽培
神戸市産のほうれんそうは主に西区で栽培され、「こうべ旬菜軟弱野菜部会」の約70名が生産しています。街に近い立地を生かして、夏場を除く年間を通じて市場に出荷されています。栽培方法はビニールハウスで育てる「施設栽培」と、屋外で育てる「露地栽培」を組み合わせています。
露地栽培の場合、まず圃場の選定(水はけや土の固さ、日当たりなど)を行って、ほうれんそうと相性がいいかどうか調べます。圃場と相性が悪いと、病気になったり、虫がつきやすくなったりするので、よく調べないといけません。
圃場が決まったら、太陽熱を利用した土壌消毒を行います。この方法で、害虫・病気をおさえて、農薬を使う回数を減らすことができ、安心・安全な栽培ができます。

●夏への挑戦
大谷さんは、夏でもおいしいほうれんそうを提供できないかと、昨年は夏の栽培にチャレンジされたそうです。
ほうれんそうは暑さに弱い野菜です。ハウス栽培で徹底して温度管理をしましたが、温度調整がとてもむずかしかったそうです。温度や日当たりの調整のため、日に何度も、日よけをかけたり、はずしたり、他にも色々とこまめに作業をされたそうですが、なかなか思うようには育たず、困ったとのこと。
結局、ハウスの3分の1、20ケースぐらい(約100kg)しか出荷できませんでしたが、手間ひまかけて育てたので、おいしいものができたそうです。
この経験をいかして、通年でもっとおいしいほうれんそうをたくさん提供できればと、つねにチャレンジされています。

●ピンク色の意味
「ほうれんそうの根っこの付け根がなぜピンク色か知ってる?」と大谷さんからの質問。
「冬のほうれんそうは、寒さに負けないように、我慢してじっくり栄養を貯めて育つんだけど、その栄養分をピンクの部分に貯めるんだよ。ピンク色が濃いほど栄養がたくさんつまっている。ハウス栽培で管理されてすくすく育ったほうれんそうはピンク色が薄い。そのため、寒い日にハウスのビニールを開けて、寒さにさらして、ピンク色になるように栄養を貯めてもらうんだよ。
土が残りやすいので、大量調理の給食では根を切ってしまうけど、家で食べるときは、栄養分がいっぱいのピンクの部分を切り落とさないで、一緒に食べて欲しいね。今が旬で、一番おいしいからね。」と、ためになる情報をいただきました。

 
 
 
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