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シリーズ⑨ こまつな

●給食で地産地消といえば、こまつな!
 11月の「こうべ特産給食(小学校、特支)」「神戸特産ランチ(中学校)」で提供される「こまつなとたくあんのいためもの」は、こまつなのシャキシャキ食感がアクセントの一品。一見、目立たないように思いますが、例年子どもたちから「おいしい!」と支持を集めています。こまつなを使った学校給食メニューは、炒め物の他に旬菜スープも定番。学校給食におけるこまつなの地産地消率は、月にもよりますが90~100%と高く、もちろん「食育」のうえでも大いに活躍しています。

●神戸のこまつな栽培
 神戸産こまつなはハウスで一年を通して栽培されています。生育期間は、育ちの良い夏場で約28日、冬場は最長で65日と栽培期間に大きな差があります。生育のよい夏場は水の管理が大変で、ほんのすこし水を多くやってしまうだけで育ちすぎ、規格サイズに合わせることが難しくなります。そのため夏は成長の遅いもの、冬は成長の早いもの、という具合に季節により品種を変えます。こまつな本来の旬は冬から春先にかけてですが、生育状況が程良く、出荷量が最も多くなるいわゆる「収穫の最盛期」は春か秋になります。この時期の農家さんは日の出から日没まで、一日中収穫と出荷の作業に追われます。

●すべての苦労は、食べる人のため
 農家二代目の大谷操さんは、先代からこまつな栽培を引き継ぎました。現在はご夫婦二人で農業をされています。「こうべ旬菜」として栽培に取り組んでいるだけに、「おいしくて安全な野菜をつくることは当たり前」と大谷さん。では、ご自身の農業に対するこだわりについて尋ねたところ、「こまつなを調理する人、食べる人がどんな野菜を求めているか、ということだけを追いかけている。虫がついていないこと、葉に穴が開いていないこと、健康的なよい色をしていること・・・すべての苦労は、食べる人、調理する人が喜ぶ野菜をつくるため」。揺るぎない信念のこもったお返事でした。

*「こうべ旬菜」・・・ 神戸市内で生産され、堆肥による土づくりと化学肥料、化学合成農薬の使用を通常栽培より1/2以下に低減するなど、消費者の安全・安心や環境保全に配慮して栽培された野菜です。また、生産者自らで生産工程のリスク管理を行う「こうべ版GAP」にも取り組んでいます。

●自然エネルギーの活用も
 こまつな農家、ひいては葉物野菜をつくるすべての農家にとって最も大変なのは2つ。虫食いなど商品価値に関わる害虫被害への対策と、発育を阻み害虫を呼び込む原因となる雑草の問題です。近年では農薬に耐性を持ったものが増えてきており、薬剤の使用による悪循環が農家の悩みの種となっています。大谷さんは昨年、太陽熱の利用による土壌消毒法を農業に取り入れました。夏場にかん水(作物へ水を与えること)し、ハウス内の地面全体をビニールで覆い、太陽熱で地表面温度を上げることで土中の害虫や雑草の種子、病原菌などの密度を下げる防除技術です。大谷さんは、こまつなの収穫が終わる度、次の種を撒くまでの間にこの方法を実施してみました。すると、もともと少なかった農薬の使用回数がさらに減った上、雑草対策としても大変有効で、それまでの苦労してきた虫・草問題が一気に改善されたそうです。ちなみにこの方法が始まったのは1970年代ということですが、減農薬によって安全・安心を高めること以外に、周辺地域への配慮や地球環境の保全、そして低コストであることなど、持続的農業が叫ばれる近年、メリットの多い技術として注目されています。

つくる人代表

 「おすすめの食べ方はナムル! 歯ごたえがアクセントになって、絶対においしい! もっと子どもたちがこまつなを好きになってくれるよう、給食にもっとこまつなメニューが増えてくれるとうれしいです」。

西区平野町・大谷操さん
(JA兵庫六甲 こうべ旬菜部会 平野軟弱野菜部会長)

 
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