●冬の到来を知らせる地産地消の野菜
小学校給食で提供される12月の「さわにわん」、1月の「みずなのじゃこに」には、「こうべ旬菜」の神戸産みずなを使用します。みずなは、神戸市の学校給食における地産地消率が最も高い野菜です(平成30年度97.8%)。神戸市では西区を中心に生産されており、「こうべ旬菜」としての西区の出荷量は年間350t。俳句で初春の季語として用いられるように、かつては冬が旬の野菜でしたが、近年はハウス栽培により一年を通じて流通します。冬場は鍋需要もあり出荷が多くなる時期で、今がまさに収穫のピークを迎えています。
江戸時代初頭から京都で栽培が始まったとされており、関西では古くからなじみのある野菜ですが、関東エリアで認知されるようになったのは2000年代に入ってからなのだそう。葉は柔らかく、茎は細いがシャキシャキと歯切れよく、さっぱりとした味。繊細で保存があまり効かないため、みずなをおいしくいただくには、鮮度のよい地元産がおすすめです。ビタミン、カロテンなど栄養が豊富です。
●地域の支えで実現した新規就農
西区伊川谷町でみずなを栽培をしている秋定さんは、5年前に新規就農した若手生産者です。就農する前は会社勤めをされていました。農家を営む親戚の手伝いを経て、現在、ハウス12棟を保有。出荷の関係で朝は4時頃から出かけるなど、会社員時代とはまるで違う生活スタイルですが、今は自分がやりたいもの(野菜)を作ることができ、楽しさとやりがいを感じています。またここ伊川谷町には、相談に乗ってくれる人や助けてくれる人がいたお蔭で、今までやってこられたそうです。秋定さんは、「常に『よりいいものを作りたい』という思いでやっています。まだまだ先輩の背中を追いかける毎日ですけどね」と話します。みずなの他にもこまつな、ほうれんそう、きくなを手掛け、日々、水の管理を調整するなどして、より高品質な葉物野菜を作れるよう努力しています。
つくる人代表
秋定さんは昨年まで3年間、伊川谷中学校のPTA会長を務めました。その間、同中学で学校給食がスタート。会長として、実施に直接関わる機会はなかったそうですが、子どもたちが自分のつくった野菜を食べるかもしれないと考えるにつけ、よりよい給食であってほしいと思うようになりました。このことはもちろん「いい野菜を作りたい」という思いを強くしています。
秋定さんが副会長を務めるJA兵庫六甲の「こうべ旬菜部会 伊川軟弱野菜部会」は、60人を超す大所帯。勉強会や講習会を開くなどして、日々、野菜のさらなる安全性や品質の向上に努めています。
秋定正人さん(西区伊川谷町)
JA兵庫六甲 こうべ旬菜伊川軟弱野菜部会 副部会長