2021.06.30 給食でたべる神戸産 シリーズ⑮ じゃがいも じゃがいもといえば、給食では欠かせない食材です。じゃがいもを使用する献立は「フィッシュ&チップス」や「カレー」、「牛肉のウエスタン風」、「バジルポテト」など、たくさんあります。 神戸市では平成20年度から、「こうべ給食畑推進事業」として神戸市産の食材を学校給食に提供するために、使用量が多いじゃがいも・たまねぎ・にんじんの生産を開始しました。 現在、神戸産の給食用じゃがいもは「学校給食じゃがいも部会」の16組の方が生産しています。作付面積は78.5アールで、サッカーコート1面ぐらいです。 →「こうべ給食畑推進事業」のページへ移動 ●学校給食じゃがいも出荷規格検討会 6月初めに、JA兵庫六甲神戸西営農センターで「学校給食じゃがいも出荷規格検討会」を見学させていただきました。 検討会では、給食用のじゃがいもの出荷の仕方、出荷の規格、収穫作業のポイントなど、JA兵庫六甲の方から詳しい説明があり、その後、みんなで話し合いをします。子どもたちが食べるものですから、慎重に検討します。 検討会には、JA兵庫六甲、学校給食じゃがいも部会、中央卸売市場、兵庫県神戸農業改良普及センター、神戸市農水産課の方々が参加しています。 今年は5月から梅雨入りし、気温が高い日が多かったので、じゃがいもの品質や、出荷できるかが、とても心配だったそうです。高温多湿になると、じゃがいもの病気の「そうか病」になったり、傷んだりすることが多くなるからです。6月に入ってから梅雨の中休みが続いたので、順調に育ち、無事に収穫できそうとのことでした。 給食用に出荷するのはM~2Lサイズまで。大量に調理するため、小さすぎたり、大きすぎたりするものは手間がかかるので使えません。しかし、調理には使えなくても、きちんと加工用として利用されます。 ※そうか病 ・・・ 細菌が原因の病気です。 表面が盛り上がり大小丸い斑がたくさんできますが、厚く皮をむけば食べられますし、味も普通のものとほとんど変わりません。 お話をうかがった学校給食じゃがいも部会長の西海さんは、 「今年は5月に梅雨入りし高温が続いたので、じゃがいもの出来が心配だったけど、6月に入ってからは晴れの日が続いて無事に収穫できそうでほっとしました。部会のみんなが一生懸命作ったおいしいじゃがいもを届けたいですね。 去年からコロナの影響で、中学生のトライやるウィークや、小学生の収穫体験などが中止になることが多かったので、とても残念。子どもたちは外に出て、土にふれて、実際に体験することが成長につながるので、コロナが収束したらぜひまた来てほしい。野菜がどうやってできているか、現地で体験してもらいたいですね。」 とおっしゃっていました。 ●給食用に開発されたじゃがいも 給食用じゃがいもは年2回収穫があり、それぞれ生産している種類が違います。 ・春に植付、6月と7月に収穫 ・・・ ほっこりゴールド(ほっかいこがね)と、メークイン ・秋に植付、1月と2月に収穫 ・・・ ニシユタカ この中で“ほっこりゴールド”は、神戸学院大学栄養学部生理学研究室と岩岡町の生産者が連携して開発したもので、抗血栓性(血液サラサラ効果)が高いそうです。平成20年から岩岡健康じゃがいも部会で学校給食用として生産を開始し、子どもたちのためにずっと生産しています。 ほっこりゴールドはメークインよりも煮くずれしにくく、フライや煮物、サラダなど、幅広く使えます。 ●子どもたちへの思い 検討会見学のあと、平成20年の生産開始当初からずっと給食用のほっこりゴールドを生産されている吉田さんの畑も見学させていただきました。 畑いっぱいに生き生きとした緑の葉が広がり、その間にうすむらさき色の花が咲いています。花が咲いている下を掘ると、じゃがいもがゴロゴロ出てきます。 吉田さんは、子どもたちにおいしい神戸産じゃがいもを食べて喜んでほしいとの思いで、ずっと給食用のじゃがいもの生産にたずさわってこられました。 学校給食で使用するじゃがいもは、子どもたちが安心・安全に食べられるように、市場で流通するよりも厳しい基準で生産・収穫されたものです。 じゃがいも用の土作りに始まって、畝(うね)のサイズ、植え方、農薬の量や与え方、肥料の配合率、出荷の方法など、細かく決められています。 基準が厳しいと、生産される方にとってはとても手間ひまがかかります。 例えば基準を満たすために農薬を減らすと、虫がつきやすくなったり、病気になりやすくなったりするので、常に気をつけていなければならないからです。 それでも、子どもたちにおいしいじゃがいもを食べて、笑顔になってもらうために、日々、頑張っておられます。 コロナの影響で、収穫体験に来てもらえないのがとても寂しいとおっしゃっていました。 コロナが収束したら、子どもたちの笑顔が早く見たいと楽しみにされています。 ●じゃがいもの豆知識 ☆じゃがいもは“いも”じゃない? じゃがいもは、植物学の分類では「ナス科ナス属」、“なす”の仲間です。「さつまいも」(ヒルガオ科サツマイモ属)や「さといも」(サトイモ科サトイモ属)とは別の種類の作物です。ちなみに、トマトやピーマンも“なす”の仲間です。 ☆緑のじゃがいも じゃがいもは光に当たりすぎると芽や皮が緑色になってきます。緑色になった部分には、天然毒素であるソラニンやチャコニンが多く含まれ、食べると腹痛などをおこしますので、気をつけましょう。ちなみに、スーパーや家の照明の下でも、ずっと光の下に置いたままだと緑色になってきます。 ☆芽が出る温度 収穫したじゃがいもは、約18℃以上になると芽が出てしまうそうです。芽が出ると質が落ちたり、傷みやすくなったりします。保存するときは、光のあたらない、涼しいところに置いてください。 Tweet Share