2023.01.18 給食でたべる神戸産 シリーズ㉑ 神戸産しらす干し その① 令和5年1月に小学校の給食で提供される「みずなのじゃこに」には「神戸産しらす干し」が使用されます。 神戸の海は、瀬戸内海の海流と六甲山系から流れてくる地下水がぶつかってプランクトンが発生し、そのプランクトンを食べに魚が多く集まる、豊かな漁場です。 「しらす」もプランクトンを食べにたくさん集まってきます。 豊富なプランクトンによって、神戸沖で獲れるしらすはカルシウムやたんぱく質、ビタミンDなど多くの栄養素を含んでいます。 ※しらす ・・・ 片口いわし(かたくちいわし)の稚魚(ちぎょ) しらすは5月から12月ごろまで漁が行われますが、一番の最盛期は5月から7月ごろです。 今回給食で提供されるしらすは7月ごろに獲れたしらすです。 おいしいしらす干しを子供たちに届けられるよう、さまざまな人が頑張ってくれています。 給食に提供されるまでどんな作業をされているか紹介します。 ①しらすを漁で獲る しらすは「船曳網漁(ふなびきあみりょう)」という漁法で獲ります。神戸では26組の漁師が漁に出ています。収穫したしらすは垂水漁港などに水揚げされ、すぐにせりにかけられます。せり落とされると、港のすぐ横にある「神戸市漁協総合水産加工場」に運ばれ、新鮮なうちに加工します。 「船曳網漁」 しらすやいかなごなど海の表層にいる小さな魚を漁獲する漁業です。網をひく2隻の網船と、魚群を探したり、漁獲物を港に運ぶ役割の運搬船の3隻で船団を組んで操業します。 (主な漁獲物:しらす、いかなご) 神戸市漁業協同組合の1階でせりが行われます。 せりには神戸市外からの業者も参加しに来るそうです。 加工用のしらすは神戸市漁業協同組合が漁業者からせり落とします。 船からせり場まで直接運搬できます。 せり場 ②せり落として、神戸市漁業協同組合で一次加工を行う(神戸市漁業協同組合) 「神戸市漁協総合水産加工場」 漁港のすぐ横にあるので、獲ったその日の新鮮なうちに加工できるようになっています。 しらすはスピードが命です。生のしらすがあがってから、早ければ5分で加工場に届きます。 設備は最新で、オートメーション化されています。 1. 生原料を水洗い 2. ゆでる 3. 乾燥 4. 風力・目視選別 5. 金属異物選別 6. 箱詰めし、氷結庫に保管 7. 出荷(加工業者へ) 1. 生原料を水洗い 生原魚洗浄機で生しらすを洗います。 2.ゆでる 大きな煮釜で、98~100℃の塩水で2分間、水流式の機械の中を流れていく間にゆでます。赤穂で採れた塩を使用しています。 とても大きな煮釜です。 透明でとてもきれいなしらすです。 ひとかごで20~25キロあります。 ゆでたあと、水分を吸引し、下から風を吹き付けて、かたまりをほぐしながらベルトコンベアに散らし、乾燥レーンに入れます。 第1乾燥機 3. 乾 燥 「しらす干し」は第1乾燥機のベルトコンベア2段で15分~20分乾燥させます。(水分を約50~60%含む。) 「しらす干し」は選別へ 第2乾燥機 「しらす干し」「釜揚げしらす」「ちりめん」の原材料はどれも「片口いわしの稚魚」ですが、乾燥させたあとの水分量の違いで名前が変わります。 第1乾燥機のベルトコンベア1段で乾燥させると「釜揚げしらす」になります。 (水分を約85%含む。) 第2乾燥機のベルトコンベア5段まで乾燥させると「ちりめん」になります。 (水分を約40%含む。) 4. 風力・目視選別 大きい魚やエビ、ゴミなどの目立つ異物を風力と目視で取り除きます。 5. 金属異物選別 金属探知機を使用して異物を取り除きます。 6. 箱詰めし、氷結庫に保管 計量して箱詰めしたあと、出荷するまで氷結庫で保管します。 7. 出荷(加工業者へ) お話をお聞きした、 神戸市漁業協同組合 河原 和典さん 神戸市漁業協同組合の河原さんは、 「神戸沖で獲れるしらすは、神戸の漁師が獲って神戸の港に持って帰ってきたら『神戸産』、もし淡路島の漁師が獲って淡路島に持って帰ったら『淡路産』になります。海に境界はないですからね。 そこで、他の地域と差別化を図るために『神戸夜明けのしらす』として漁師の方々がブランドを立ち上げました。他地域の漁師は朝の5時から網をいれますが、神戸の漁師は4時から入れることができます。朝4時はまだしらすが朝ごはんを食べていない時間。しらすは透明なんですが、朝ごはんのプランクトンを食べてしまうと、体が透けているので、朝ごはんが赤っぽく見えてしまうんです。ですから、朝ごはんを食べていないしらすを獲ると、透明度が高く、雑味もなくて、釜揚げしても真っ白でおいしいです。 昔から、明石海峡の栄養たっぷりの海流の中で育った神戸産しらすは、カルシウムが多く、体に良い栄養素が含まれています。「兵庫県認証食品」にも指定されているので、いっぱい食べてほしいですね。」とおっしゃっていました。 そして、給食用のしらすを選んでくださった荷受問屋※の鍋島さんは、 「今年の夏に、学校給食用食材の納入業者さんを通じて給食でしらすを使用したいとの話がきたとき、すごく良いしらすがちょうど入っていたので、すぐに確保しました。すごくタイミングが良かった。本来、春から秋まで獲れるしらすが、ここ何年かは秋にあまり獲れないときもあるので、夏のうちに確保できて本当に良かったです。一番おいしいときのしらすを味わって食べてもらいたいです。」とおっしゃっていました。 ※荷受問屋 ・・・ 生産者や荷主から商品を預かり、仲買・小売商人への販売を仲介したり、注文主の依頼に応じて生産地からの購入を代行する業者 神戸産しらす干し その② へ続く Tweet Share