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シリーズ㉒ 神戸産味付け海苔

令和6年3月、神戸産大豆に引き続き、給食で食べる神戸産の食材に「神戸産味付け海苔」が加わります。
神戸産海苔とは、東須磨、須磨浦、塩屋、東垂水など、神戸の漁港で水揚げされた海苔のことです。
令和5年11月10日、海苔の販売元である「松谷海苔」さんと、海苔のタネを養殖したり、加工したりする「JF兵庫漁連(兵庫県漁業協同組合連合会)」さんにお話をうかがいました。

海苔のタネを養殖:JF兵庫漁連のり研究所

藤原さんにお話をうかがいました

日本の海苔は現在、有明海、瀬戸内海、伊勢湾、東京湾、松島湾の5つのエリアで生産されています。日本で生産される5枚に1枚が神戸産海苔を含む兵庫県産の海苔で、瀬戸内海エリアで獲れます。兵庫県産の海苔は、明石海峡の早い潮流で鍛えられ、播磨灘・大阪湾がもたらす栄養によって、元気いっぱい。色が黒くツヤがあり、厚みのあるものが多いです。栄養満点でおいしいですが、穴があきやすく、製品にするのがとても難しいです。

海苔の養殖は気温や水温に左右されます。例えば、冬が暖かく海水温度が高いと、養殖をはじめる時期が遅くなり、漁が終わる時期は早くなってしまいます。近年は漁獲できる期間がどんどん短くなっています。しかし、暖冬の年は春に雨がよく降り、地上の栄養を海に流し込んでくれます。だから、兵庫県では、暖冬の方が海苔が多く獲れたりもします。海苔にとって雨は恵です。

海苔の色落ち現象

海苔の黒い色には海の栄養塩(ちっ素、リンなど)が大きく関連しています。近年の下水処理技術の進歩によって海がきれいになり、そういった海の栄養塩が減っています。これにより、海苔が色素(黒い色)を作れず、黄緑色のようになってしまいます。そのせいもあって、海苔の生産量がかなり減っています。

海苔の養殖の1年間の流れ

春~夏・・・培養

海苔のタネ(胞子)を放出する元である糸状体(しじょうたい)をカキ殻にもぐりこませ、毎日管理して大切に育てます。そうすることで糸状体が成長し、白いカキ殻が黒くなります。

糸状体

白いカキ殻

黒くなったカキ殻

秋・・・採苗(さいびょう)、育苗(いくびょう)

黒くなったカキ殻(糸状体が成長したもの)は、秋頃、水温が下がり、1日の日照時間が短くなってくると胞子を出す習性があります。のり研究所で細かく管理して、糸状体が胞子を出す条件を作り出し、黒くなったカキ殻を野外の水槽に入れます。すると、朝の光の刺激で糸状体が胞子を出すので、横の水車を回して網に胞子をつけます(採苗)。
その、胞子がついた網を一度海に出し、海苔の芽が1~2cm程度になるまで育てます(育苗)。
海苔は、18度を下回るぐらいの水温でないと、健康に育ちません。そのため、育苗した海苔は一度陸にあげ、冷凍保存されます。冷凍することで、長期間「種網」を保管することができます。また、ウィルスの繁殖を防いだり、海苔以外の雑藻が死んだりする効果もあります。

海苔のタネとなる黒くなったカキ殻

野外の水槽

水車

 

胞子がついた網を水車からはずす

 

海苔の網(持ち主⦅漁師さん⦆によって色も様々)

 
冬・・・本張り、摘採、板海苔に加工

海苔は、水温が高くなると、生理障害(体調不良のようなもの)を起こし、海苔の葉っぱが白くなったりします。水温が順調に下がっていくと海苔はよく育つので、水温が18度を下回るぐらいになったら、冷凍保存していた網を再び海にはります(本張り)。

海苔の養殖方法には、有明海でよく行われている支柱式養殖と、瀬戸内海でよく行われる浮流し式養殖の2種類があります。神戸産海苔は、浮流し式養殖です。

海苔の収穫方法(摘採)(「浮き流し式養殖」の場合)

潜り船という船が、海苔のついた網の下に潜り込み、そのまま船が前に進むと海苔網が持ち上がります。船にはバリカンがついていて、網に育った海苔を刈り取ります。
海苔は、一定の長さになると刈り取ります。そして、またのびると刈り取り、それを何度も繰り返します(多いと10回ほど)。1度の収穫は、船の水槽が海苔でいっぱいになるまで続きます。収獲量は、回数を重ねるごとに多くなり、海苔の網 1枚(1.68m×20m位)に対して、焼海苔サイズの海苔が500~1500枚ぐらい収獲できます。
海苔は、のびすぎたり刈り取りの間が空きすぎると、品質が低下することが多いので、注意が必要です。

板海苔に加工

刈られた海苔は、漁師さんの元で板海苔に加工されます。水洗いしたり、機械を通したりして異物を取り除き、小さくミンチにしてから抄(す)きに流し込んで、板海苔にします。板海苔にした後も、選別機にかけたり、人の目でしっかりチェックしたりと、念入りに異物を除去します。厳しいチェックを通過した板海苔は、検査員が色ツヤを見たり、手触りを確かめたりして等級がつきます。海苔加工業者は、入札会に参加して海苔を買い、焼き海苔や、味付け海苔などに加工します。

板海苔を味付け海苔に加工:JF兵庫漁連のり加工センター

小林さんと、藤本さんにお話をうかがいました

小林さん(左)、藤本さん(右)

兵庫県内の海苔の漁場は、大きくわけて東播・西播・淡路島ブロックにわかれています。神戸市は東播、兵庫県の中で最も東の漁場です。海苔は、12~4月頃に何度も収穫されますが、収穫回数が増えるごとにかたくなります。
そのため、のり加工センターでは、給食用の海苔には、「初摘み」や若い芽の「若摘み」など、1~3回目までに収獲される海苔を原料に選ぶことにこだわっています。「初摘み」や「若摘み」の海苔は、柔らかくて口溶けが良いのが特徴です。そのぶん破れやすく、加工が難しいです。
のり加工センターでの海苔の加工は、巻きずし用などの「焼海苔」(しっかりした海苔)、「味付け海苔」(柔らかい海苔)、油を塗布する「軍艦巻用海苔」と、3種類あります。また、厚みがある海苔は、「つくだ煮」にするとおいしいです。

海苔は、乾燥させ、まったく焼かずに半分に折った状態で加工センターに納品されます。海苔を折るのは昔からの風習でもあり、その状態で立てて段ボールに入れることで、割れにくくなるという利点があります。納品された海苔は、-20度の冷凍庫で冷凍保存することにより、5年ぐらいおいしく食べられます。

半分に折った状態で入荷

海苔の表 ツヤがある

海苔の裏 乾燥させた時の「簾(す)」のあとが残る

グリーンとグレーに色分けされた床

グリーンゾーン

グレーゾーン

加工場内の床は、2色に色わけされています。床がグリーンの部屋は、海苔の加工製品を扱うクリーンなゾーン。床がグレーの部屋は、段ボールなどを置いて良いゾーン。このように、ゾーンわけがしっかりされていることで、場内の清潔が保たれています。

生海苔を焼き海苔に

半分に折った海苔は、広げて85度の温風で3時間乾燥させます。その後、機械に通して一瞬で焼きのりにします。
焼く前の海苔は磯の香がほのかに漂いますが、焼く(焙焼)ことによって香ばしさが出ます。

乾燥させた海苔を機械にセット

機械が吸い込み

一瞬で焼き海苔になって出てくる

焼き海苔を味付け海苔に加工

味付け海苔用の機械の中には、調味液を吸い込ませたスポンジローラーがついています。そのローラーの間を海苔が通り、焼海苔全体に調味液がつき、味がつきます。
学校給食用の味付け海苔は、醤油を使わず、みりん、砂糖、食塩などを使った、学校給食用独自の味付けです。加えてノンアレルゲンなので、製造ラインでアレルゲンが含まれるものを使用した時には、念入りに洗浄するなど、とても慎重に製造されています。
味付けした海苔は、規定のサイズに切断し、個包装にします。

機械を通して味付け海苔用のサイズに切断し、個包装される

個包装されて出てきた海苔は、人の手で袋づめされる

途中でやぶれてしまった海苔は細かく切断され、もみ海苔になります。
無駄がないですね。

やぶれていない海苔(左)と、やぶれた海苔(右)

もみ海苔

おいしい海苔を見分けるには

・色が濃く、つやのある海苔を選ぶ(海苔は栄養分が多いほど色が濃くなる)
・その中でも初摘み海苔は、パリッと歯切れがよく、口溶けの良い食感で、とてもおいしい

生産者おすすめの海苔の食べ方

・トーストにバターをぬり、海苔をのせて食べる(海苔は、ご飯と一緒に食べるイメージが強いが、パンとも相性が良い)
・サラダに入れたり、アボカドやほたて、かまぼこなどをのせて食べる

「松谷海苔」藤本さんからみなさんへメッセージ

加藤さん(左)、藤本さん(右)

兵庫県ではたくさんの海苔が獲れています。
神戸産味付け海苔には、たくさんの人たちが、かかわっています。
生産者の方たちは寒い時期に収穫し、加工業者の方たちは、おいしくなるよう原料や味付けを工夫、メーカーは、より良い海苔を選び、パッケージなどのデザインを考える。こうして神戸産味付け海苔を学校給食に提供します。
海苔は体にも良く、そのまま食べてもいいし、ご飯やパンと一緒に食べてもおいしいです。
ほかにも、様々なアレンジレシピをご自身で考えるなどして、おいしい神戸産海苔をたくさん食べてくださいね。

海苔は、タンパク質、カルシウム、鉄分、ビタミンなどを多く含んでおり、成人病の予防や美容にも効果がある、栄養満点な自然食品です。
中でも、栄養豊富な神戸の海で育った「神戸産海苔」を食べて、元気にすごしましょう!

 
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