2023.09.8こうべの食育 「神戸っ子SDGsプログラム」 神戸っ子SDGsプログラム ※SDGs(Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標) 【実施日】 <出前授業> 令和5年6月28日(水曜日) <収穫体験> 令和5年7月11日(火曜日) 【参加校】 下畑台小学校(垂水区) 4年生児童70人 神戸市学校給食会では、小学生を対象に「神戸っ子SDGsプログラム」を実施しています。事前の「出前授業」と「収穫体験」をセットにして、地域循環型社会について学ぶ機会を提供します。 「出前授業」では、下水汚泥から貴重なリンを回収(こうべ再生リン)し、肥料にして農作物に使われるまでを学びます。 「収穫体験」では、こうべ再生リンを使用した肥料「こうべハーベスト」を使って栽培したスイートコーンの収穫を体験します。 本プログラムは、神戸市建設局下水道部、プラントメーカーの水ingエンジニアリング株式会社、JA兵庫六甲との協働で実施しました。 <出前授業> はじめに、神戸市建設局下水道部の小川さんから、ビデオや資料を使い、クイズも交えながら、リンについて説明していただきます。 ☆リンとは ・全ての生物の体内にある栄養分で、エネルギーをつくるときに必要なものです。骨や歯を丈夫にします ・卵や牛乳、煮干しなどの食物や、スポーツドリンクなどの飲料、農作物を育てるときに使う肥料の中にも含まれています ・火山灰や動物の死がい、鳥のふんなどからできる「リン鉱石」からとれます 日本は、リンの入手を100%輸入に頼っていましたが、日本でもあるところからリンが見つかったそうです。 どこだと思いますか。 おどろくなかれ、何と人間のおしっこの中です。 そこで、神戸市はプラントメーカーである「水ingエンジニアリング」の協力を得て、下水の中からリンを取り出すことに成功しました。 資料を見ながら勉強 「『おしっこ』だと思う人?」「はーい!」 次は、実験です。 透明のコップ「A」「B」に入った2つの液体にリンが含まれているかどうか、検査キットを使って調べます。 スポイト状の試験管 検査薬が入ったスポイト状の試験管でA、Bそれぞれのカップの水を吸い、振って混ぜます。 リンが含まれていなければ変化はありませんが、含まれていれば色がピンク色に変わります。 色が濃いほど、たくさんのリンが含まれています。 色別リン含有量の目安 小川さんから実験の方法を教わって、子供たちも実際に確かめてみます。 A、Bそれぞれののコップの水を、試験管で吸って振る 「どの色に近いかな・・・」 「色変わるのかな?」 「濃いピンク色に変わった!」 結果は コップ 試験管の検査液の色 リンが 中身 A 濃いピンク色に変わった 含まれている スポーツドリンク B 変色しない 含まれていない 水道水 水ingエンジニアリングの尾田さんからは、リンを含んだ肥料の役割についてお話していただきます。 農作物は肥料がなくても育ちますが、もっと大きく、おいしく、甘くしたいと思ったら、やはり肥料が必要です。肥料を作るにはリンが必要ですが、日本は100%輸入に頼っています。 リンの輸出国にとっても、リンは大切な資源であり、なかなか日本に譲ってくれません。 どうしたものかと思案していたところ、神戸市が下水からリンを取り出すことに成功しました。 そのリンを利用してできた肥料が「こうべハーベスト」です。 「こうべハーベスト」は野菜やお米、花などを栽培するのにも使われており、収穫された農作物は、皆が食べる給食の材料にもなっているとのこと。 「お家で育てている野菜などがあれば、この肥料を使ってください。 肥料を入れたものと入れていないものを比べるなどすると、夏休みの宿題に良いかもしれません。 今日勉強したことは忘れないようにしましょう。そしてぜひ、お家の人に教えてあげてください。」 尾田さんがこう締めくくられ、出前授業は終了しました。 子供たちにはお土産として、「こうべハーベスト」の小袋が配られました。 ☆参考 ・ビデオ 「水道水×アート×SDGs プロジェクト」 水をきれいにするために大事な微生物の紹介(ビデオはこちら) <収穫体験> 当日は晴天! 青空が美しいです。 バスを下車した子供たち、元気に「おはようございます!」と気持ちのいい挨拶。 歩いて5分ほどの収穫場所まで、車に気を付けながら移動します。 「前回の出前授業で習った、神戸の下水に含まれるリンを利用してできた肥料の名前は?」という学校給食会職員からの問いかけに、 「こうべハーベスト!」と答える子供たち。 しっかり覚えていました。 今回は、その肥料で育ったスイートコーンの収穫体験です。 皆の目の前には、大きく育った背の高いスイートコーンの茎が。 今回の収穫体験でお世話になる、神戸市西区岩岡町の農業生産者、安福さんから、お話を聞きます。 神戸の西、明石にほど近いここ岩岡町では、いろんな野菜を作っています。この時期だとスイートコーンの他に、夏野菜であるキュウリ、ピーマンなどがあります。 今日は、スイートコーンの収穫体験をしてもらいますが、どんなふうに実がなっているのかも見てください。 前回学校で勉強した、リンが含まれている「こうべハーベスト」を使ってできた野菜を収穫し、皆がそれを食べ、消化・排出して下水道に流れ、そこから取り出されたリンが、また肥料になる、というようにグルグル循環しています。 皆が食べる食材は、農家やいろんな会社のたくさんの人が関わっています。農業の大変さ、当たり前に食べられるありがたみを知り、将来食べるものに困らないように考えていってほしい。循環型の農業にも興味を持ってほしいと思います。 黄色のTシャツで現れた安福さん。 真ん中には「こうべハーベスト」の大きなロゴ。 実はこのTシャツ、「こうべハーベスト」の関係者にしか配られない、レアなTシャツだそうです 当日お世話になった方々 安福さんは、収穫の仕方を身振り手振りを加えながら説明してくださいました。 1. できるだけ大きい物を探してください 小さいのもおいしいけど、大きい方が食べるところが多い 2. ひげの部分を軽く引っぱり、抜けないものを選ぶ 虫が中に入っていたら、ひげがすぐ抜ける ※ひげ:スイートコーンの上から出ている 細い繊維の束(めしべ) 3. スイートコーンの上の方を持って、思い切って下へバキッと折る(もぎ取る) スイートコーンのひげ 収獲の際の注意事項 ・前日雨が降ってぬかるんでおり、畑は結構デコボコしているので、跳んだり走ったりすると足をくじいたりすることがあります。走らず、ゆっくりしっかりと踏ん張りながら収穫してください ・スイートコーンの葉っぱは、とがっており、顔に当たったりするとヒリヒリするので、気をつけて、ケガのないように、安全に! 「近くにいるので、わからないことがあったら、気軽に聞いてください」という安福さんの言葉に、子供たちは、元気よく「はい!」。 長い1畝分を、2クラスが一斉に収穫開始。収穫できるのは1人2本。 たわわに実ったスイートコーンを、少しでも大きなものを収穫しようと、意気込み十分の子供たち。 皆、比較的簡単にもぎ取っていましたが、苦戦している児童もちらほら。 どう引っぱればもぎ取れるのか、大人はこれまでの経験からわかるのでしょうが、スイートコーンを初めて収穫する手も小さな子供たちにとっては、そう簡単にいかないのかもしれません。 上手にもぎ取れなくて困っている児童を他の児童が手伝ってあげるという、ほほえましい姿もありました。 「どれにしようかな~」 「これ大きい!」 うまく採れた 友達と協力し合って 「トウモロコシ~!」「イエ~イ!」 大きいの見つかった? 収穫体験の様子を短い映像にまとめました。 ◆映像はこちら 最後はスイートコーン畑の前で記念撮影。 下水道部の小川さんの号令を合図に、皆「採ったど~!」という雄叫びとともに、収穫した2本のスイートコーンを高々と上げました。 「イエ~イ!採ったど~!」 当日は暑い一日でしたが、子供たちは収穫した2本のスイートコーンを袋に入れ、嬉しそうに帰って行きました。 採れたては生でも食べられるスイートコーン。 皆、どうやって食べたのかな? きっと、とても甘くておいしかったでしょうね♪ ★ 子供たちの感想はこちら Tweet Share