2022.01.12こうべの食育 「神戸っ子 みそづくりプログラム」 ~北神みそづくりを体験(出前授業)~ 「神戸っ子みそづくりプログラム」は(一財)神戸市学校給食会が、学校での食育を支援するため、兵庫六甲JA神戸北女性会と協働で食育・地産地消推進事業を実施したものです。子どもたちがこの体験を通して、様々な人・作物への感謝や、豊かな自然、地域の歴史・伝統を知ることができる機会を提供するなど、複合型の食育プログラムとなっています。 <出前授業> 兵庫六甲JA神戸北女性会(一般社団法人 北神みそ)のご協力の下、みそ工房での体験と合わせて、今年は新型コロナウイルス感染症対策に対応した、出前授業を実施しました。11月26日、12月1日に、好徳小学校と山田小学校まで、JA神戸北女性会の方にみそづくりの道具を持って来ていただき、授業を行いました。 みそづくり体験の前に「みそについて」の話を聞きました。 JA神戸北女性会の方からいただいた「みそのわかる本」を見ながら、みその栄養や歴史、雑学などをクイズ形式で楽しく学びました。 「戦国時代の人の寿命は平均が37、8歳でしたが、具がたくさん入ったみそ汁を飲んでいた徳川家康は、75歳まで長生きしました。」 「そんなに長生きしたんやー!」 どうやってみそが作られていくか、ビデオで学習します。 実際のみそ工房での作業のようすがわかります。 大豆を煮る、大きな圧力なべです。 子どもたちは興味津々です。 「足みたいなんがついてるー」 「これ、何人分できるん?」 JA神戸北女性会の方がすでに煮た大豆を用意してくれています。 指で押すとつぶれるぐらいのやわらかさです。 煮た大豆を、ミンチの機械にかけます。 工房では大きなミンチの機械を使いますが、出前授業用に小さいミンチの機械を用意してくださっていました。 家庭科室に煮た大豆のいい匂いが広がります。 「おいしそうないいにおい~!」 「このまま食べたい~!つまんだらあかん?」 煮た大豆をミンチの機械にかけます。 自動ではないので、手で大豆を押し込んでいきます。 「お~!でてきた~!」 「スパゲッティみたい~!」 子どもたちの歓声があがります。 実際に、一人ずつミンチにする体験をさせていただきました。 「ぐいぐい、力いっぱい押して!」 「えい!えい!なかなか出ーへん!」 いよいよ、みそを作ります。 材料は、米からつくられた糀(こうじ)に塩を混ぜた塩糀(しおこうじ)、あめ(大豆の煮汁)、大豆ミンチです。 この3つをよく混ぜます。 まず塩糀と大豆ミンチを混ぜます。 ここでしっかり混ぜておかないといいおみそができません。 力を入れて一生懸命混ぜます。 「力いるから大変やー!」 「手が疲れてきた~!」 ある程度混ぜたら「あめ」(大豆の煮汁)を入れて、またよく混ぜます。 「はい!あめを入れてくださーい!そしてがんばって混ぜてねー!」 「ひゃぁ~!ねちゃねちゃやー!」 「やわらかくて、気持ちいい~!」 混ぜ終わったら、次はにぎりこぶしぐらいに丸めてみそ団子を作っていきます。 大小さまざまな団子がどんどんできあがります。 「丸い団子を作ってください!あんまり大きくしないでくださいね!」 「めっちゃきれいな丸にできたでー!」 「ちょっとちっちゃいかな・・・」 丸め終わったみそ団子を容器に入れて、空気を抜くようにぎゅっぎゅと押さえて平らにしながら詰めていきます。 ここでよく空気を抜いておかないと、糀がうまく働かなかったり、カビができやすい原因にもなります。 「横からのぞいて、穴がないか見てくださいね!穴があるということは空気が入っているということなので穴をつぶしてくださいね!」 「あれ?ここに穴がある。」 「それそれ!その穴つぶすねんでー!」 きれいに詰めたら、ホワイトリカー(酒・アルコール消毒用)を吹きかけて、ラップでふたをします。 みそが空気に触れないようにしっかり押さえます。 ラップの上からもう一度ホワイトリカーを吹きかけます。 容器のふたの裏にもホワイトリカーを吹きかけて消毒し、しっかりふたをします。 最後に保存の仕方や期間の確認です。 「保存する場所は涼しくて、暗いところです。でも、冷蔵庫はダメですよ!菌が活動しなくなるので、おいしいおみそになりません。それから、カビができても捨てないでくださいね。カビのところを取ったら食べられますよ!」 「はーい!!」 「そして、いつ食べることができるかというと、約10ヶ月後です!」 「えー!10ヶ月もかかるんー!」 「すぐ食べられへんのー!?」 「長い時間がかかりますが、ふたを開けたりせず、そっと置いておいてください。そのあいだに発酵が進んで、白っぽい色から、茶色に変わっていきます。じっくり待ってもらったら、かならずおいしいおみそになりますので、ぜひ自分で作ったおいしいおみそを食べてくださいね。」 「今日はおみそづくりを教えてもらって、ありがとうございました!」 みんなで元気に講師の方々にお礼を言います。 楽しかったですね!みんな満足気です。 子どもたちの体験の感想です。(原文のまま) ・「おみそは作ったら、すぐ食べられると思ってたので、食べられなかったのが残念でした。」 ・「長いけど、おいしいおみそになるまで待ちます。」 ・「みそがこうじかびの力でできているのがびっくりしました。大豆がつぶされて作られるんだなとはじめてしりました。」 ・「みそを作るのに、あんなに作るのがたいへんなのをはじめて知りました。楽しかったので、また家でもみそを作りたいです。」 今年も昨年に引き続き、新型コロナの影響でなかなか体験学習ができませんでしたが、そんな中でもできる限りのことを子どもたちに体験して欲しいと、JA神戸北女性会の方々が「出前授業」という形を提案してくださいました。 みそ工房だけでなく、学校でも体験ができることがわかり、今後、体験授業を継続していくためにも、よい機会となりました。 JA神戸北女性会の方々は、 「今年は工房での体験に加えて出前授業を行うことで、新型コロナ禍の中でも子どもたちにみそづくり体験をしてもらうことができました。出前授業を行うにあたり、指導内容を統一して、どの学校でも同じ内容を伝えることができるように工夫しました。 工房では大きな大豆ミンチの機械や、実際に使う道具などを見てもらえますが、出前授業ではなかなかそうはいかず、どうしようかと考えましたが、大豆ミンチの小さい機械や、大豆を煮る用の圧力なべを用意し、少しでも雰囲気を味わってもらえたと思います。 小さい大豆ミンチの機械は、工房ではできない大豆をミンチにする作業を実際に子どもたちに体験してもらい、とても喜んでもらえました。 今回の出前授業で見えてきた課題もあり、簡素化や工夫をすることによって効率化し、来年はもっと多くの学校でできるのではと考えています。 来年こそは、体験の後におみそ汁を食べてもらいたいですね。」 とおっしゃっていました。 <みそ工房> 昨年は新型コロナ禍の中実施出来たみそ工房でのみそづくり体験学習を、今年も楽しく実施することができました。 工房では煮た大豆をミンチにするところを見せていただきました。 大豆ミンチの機械は大きく、出前授業で使用した機械の4倍以上の大きさで、ザルいっぱいの煮大豆を自動で一気に大豆ミンチにできます。 (出前授業で使用した大豆ミンチ機) この後は、工房での作業も出前授業での作業も同じです。 塩糀と大豆ミンチをよく混ぜます。 よく混ぜないと、いいみそになりません。 よく混ぜたあとは、みそ団子を作り、丸め終わったみそ団子を、すき間がないように容器にきっちりとつめ、ホワイトリカーで消毒します。 その後、ラップとふたをしてできあがりです。 こちらも自分だけのみそができました。 みんな大満足です。 「ありがとうございました!」 子どもたちの体験の感想です。(原文のまま) ・「糀と大豆を混ぜたり、みそ玉を同じ大きさに混ぜたりするところを頑張りました。みそは寒い時期仕込むけど、冷たい中での作業は寒かったです。」 ・「糀のにおいがしました。いいにおいでした。」 <1年後のみそ> 昨年の12月17日にみそづくり体験をした市立盲学校の子どもたちが、1年かけて熟成させたみそを試食しました。 少しカビがありましたが、取り除いたら問題ありません。 おいしいみそ汁ができあがりました! どんな味かな? おいしいー!! 子どもたちの感想(原文のまま) ・「おみそ汁はとってもおいしかったです。初めて自分で作ったみそを使って、初めて作ったみそ汁がこんなにおいしくできてうれしかったです。みそづくりも成功したんだなと食べて思いました。1年間寝かせて待ったかいがありました。家でも作ってみたいです。」 <兵庫六甲JA神戸北女性会> 同女性会は、北神地域でとれた大豆と、北区産の米で作る糀を原料に、無添加にこだわった「北神みそ」を製造されています。 みそを通じて地域の人たちに地産地消の素晴らしさを知ってもらいたいと、毎年たくさんのみそづくり体験を受け入れ「食農教育活動」に取り組まれています。 「北神みそ」は市内道の駅、JA兵庫六甲の各直売所などで購入することができます。 Tweet Share