2023.03.31こうべの食育 「神戸っ子みそづくりプログラム」~北神みそづくりを体験~ 「神戸っ子みそづくりプログラム」は、兵庫六甲JA神戸北女性会と協働で、学校での食育を支援するためのプログラムのひとつです。 3年生で習う「すがたをかえるだいず」の授業から、実際に「みそづくり」を体験することによって、教科書だけではわからない様々なことを学ぶことができます。 この体験を通じて、地域の様々な人々や活動、人や作物への感謝、神戸の豊かな自然、地域の歴史や伝統などを知ることができる機会を提供しています。 令和4年度は、工房で2校、出前授業で5校の、計7校の児童がみそづくりに挑戦しました。 みそづくりプログラムは、工房でも出前授業でも、次のことを勉強します。 ① みそについて ・ビデオで、実際に工房で行われているみその作り方を見ます。 ・「みそのわかる本」で、みその栄養や歴史、雑学などをクイズ形式で学びます。 ② みそづくりの体験 ・大豆ミンチと塩糀を混ぜて、容器にみそを詰めるまでを行います。 工房でも、出前でも、同じように子供たちが体験できるように、女性会の方が内容を工夫されています。 兵庫六甲JA神戸北女性会が作成された「みそのわかる本」は様々なみそに関わる事柄が載っています。 <工房編> JA兵庫六甲のホールで、女性会の方からみそづくりについての話を聞きました。 動画で大豆からみそができるまでの作業を説明していただき、「みそのわかる本」では、みその歴史や栄養素、文化などを学びました。 「みそづくりで使う大豆とお米は、どちらもこの北区で作られています。お米はみそづくりにかかせない『糀(こうじ)』になります。今日は『糀(こうじ)』という漢字を覚えて帰ってくださいね。この糀がおいしいおみそをつくる素なんです。そして、みそができあがったときの甘さの決め手にもなります。大豆は糀の力で、10ヶ月という長い発酵の時間をかけておいしいみそになります。」 みそづくりの工程を動画を見ます。 「おみそってこんなふうに作るの!」 「徳川家康はみそしるをよく飲んで、75歳まで長生きをしたと言われています。」 実際に使用している、米や大豆、糀に混ぜる塩(赤穂産)も見せていただきました。 下の写真左から、 ・大 豆 ・・・ 神戸産の“タマホマレ”、“サチユタカ”という品種の豆を使用。 ・煮大豆 ・・・ 圧力なべで煮た大豆。指でつぶせるぐらいのやわらかさです。 ・ 米 ・・・ 糀の元となる神戸産の米“キヌヒカリ”の一等米を使用。 ・ 糀 ・・・ 米を蒸して糀菌を混ぜ、2晩発酵させたもの。 大豆 煮大豆 米 米糀 最初に、煮大豆をミンチにするところを見せていただきました。 工房の中には煮大豆のいい匂いがしています。 煮大豆を大きな大豆ミンチ機械の上から入れると、大きな音とともに、大豆ミンチが下から出てきます。 子供たちから歓声があがりました。 「うわー!むにゅーって出てきた!」 「スパゲッティみたいや!」 工房の中には、ビデオで出てきた大きな機械や道具が並んでいます。 米を蒸すせいろ 大豆を煮る大きな圧力なべ 糀を発酵させる機械 見学したあと、いよいよみそ作りに入ります。 女性会の西さんから作る手順を説明していただきました。 左上:大豆ミンチと、右下:塩糀 帽子をかぶり、手袋をつけて、手袋の上から消毒します。準備ができたら、大豆ミンチと塩糀をよく混ぜます。 「よく混ぜないと、いいみそになりませんので、しっかりと力を入れて混ぜてくださいね!」 混ぜるのは結構力がいります。 「えい!えい!」と気合を入れて混ぜている子や、途中でペースダウンしてくる子も。 「まだ混ぜるんかな、疲れてきた・・・」 よく混ざったら、次は“あめ”(大豆の煮汁)を入れて、さらによく混ぜます。 「えー!まだ混ぜるの!」 「さっきよりやわらかいね。むにゅむにゅして気持ちいい。」 よく混ぜたあとは、みそ団子を作ります。 団子にすることで、中の空気を追い出します。 空気が入っているとカビが生えるので、しっかり団子にして空気を抜かなければいけません。 ほら!きれいに丸めたよ! あともう少しで丸め終わるね。 大きさが違うかも・・・ 「はい!みそ団子はできましたかー?では、みんなグーしてください!今からみそ団子を自分の容器に入れて、グーで押さえていきます!空気を抜くように、しっかり押さえてください。」 すき間がないように、グイグイ押さえないと。 同じぐらいに入ったかな? カビが生えないようにホワイトリカー(酒)で消毒します。 サランラップでふたをして、もう一度ホワイトリカーをかけます。 外をきれいに拭いて、完成です。 おいしいみそができあがる10ヶ月後の日にちを記入します。楽しみですね! みそづくりを教えていただいた方にお礼を言いました。 「ありがとうございました!」 ★子供たちの感想はこちら <出前授業編> 女性会の方が、学校までみそづくりの道具一式を持参してくださり、みそについての話は教室で、みそづくりは家庭科室で学びました。 ビデオで、どうやってみそが作られていくかを見ます。実際のみそ工房での作業の様子がよくわかります。 その後、女性会の方からいただいた「みそのわかる本」を見ながら、みその栄養や歴史、雑学などをクイズ形式で楽しく学びました。 さあ、いよいよみそづくりです。 女性会の方がすべて準備をしてくれました。 子供たちに本物を見てもらおうと、女性会の方がわざわざ重い大きな圧力なべを運んできてくれました。 煮た大豆です。指で押すとつぶれるぐらいのやわらかさです。 まず、大豆の成長の過程を教えていただきました。 次はみそを作る順番の説明です。 煮た大豆を、大豆ミンチにするところを見せていただきました。 工房では大きな大豆ミンチ機を使いますが、出前授業では小型の大豆ミンチ機を用意してくださっていました。 ミンチの機械の上から大豆を押し込んでいくと、下からむにゅーっと出てきます。 「わ~!でてきた~!」 「モンブランや~!」 子供たちは興味津々、大騒ぎです。 材料は、米からつくられた糀(こうじ)に塩を混ぜた塩糀(しおこうじ)、あめ(大豆の煮汁)、大豆ミンチです。 この3つをよく混ぜます。 あめ(大豆の煮汁) 大豆ミンチ(左)と塩糀(右) まず塩糀と大豆ミンチを混ぜます。ここでしっかり混ぜておかないといいみそができません。力を入れて一生懸命混ぜます。 「いい匂いー!」 「どれだけ混ぜるん?」 「はい!ではあめを入れてくださーい!」 「ちょっとずつやで!」 「私が次入れるー!」 あめを入れたら、さらによく混ぜます。 「うわー!むにゅむにゅやでー!」 「気持ちい~い!」 「よく混ざりましたか?混ざってないところはありませんかー?」 「次は団子を作ります。これぐらいの大きさです。ゴルフボールよりちょっと大きいぐらいかな。しっかりにぎって空気を抜いてね。では、作ってくださーい!」 みんな一生懸命、みそ団子を作りました。 あともう少し。 大きさが様々です。 「丸め終わりましたかー?では、団子を1個、容器に入れてください。そして、みんなグーをしてください。そのグーで、団子をぎゅーっとつぶします。」 「えー!!せっかく作ったのに?!」 「団子にしたのは、空気を抜くためです。空気が入るとカビが生えやすいからね。」 「そうなんやー!」 「めっちゃ丸めたで!」 「グーやで!グー!」 「横から見て、空気が入ってないか確かめてねー」 「すきまができないように穴つぶすねんで!」 きれいに詰めたら、ホワイトリカー(酒・アルコール消毒用)を吹きかけて消毒し、しっかりふたをします。 「カビが生えないようにかけないと!」 「ラップがくっついてきて、うまくでけへんー」 最後に保存の仕方や期間の確認です。 「保存する場所は冷暗所です。キッチン台の下や床下収納なんかがいいですね。冷蔵庫はダメですよ!菌が活動しなくなって、おいしいおみそになりません。それから、カビができても捨てないでくださいね。カビのところをそっと取ったら、おいしく食べられます。」 「そして、いつ食べることができるか、わかりますかー?」 「10ヶ月後!」 「長いー!」 「そうです、今から10ヶ月かかるんです。でもじっくり待ったら、おいしいおみそになります。ときどき出して見てみてください。色が段々、白っぽい色から、茶色に変わっていきます。おいしいおみそになってきた証拠ですので、我慢して、10ヶ月間待ってくださいね。そして、自分で作ったおいしいおみそを食べてくださいね。」 「今日はおみそづくりを教えていただいて、ありがとうございました!」 講師の方々にお礼を言います。楽しかったですね! ★子供たちの感想 ・「みそを入れものに入れる時に、おしこんで、空気を入れないようにするのがむずかしかったけど、強くおしたら上手にできてうれしかったです。お店に売っているみそはこうやってできているんだなと思いました。早く食べたいです。」 ・「みその作り方や、みそのれきしを教えてくれてありがとうございました。そして、そんな前にみそができているのかと思いました。10ヶ月後のおみそが、ぼくはとっても楽しみです。」 ・「みそ作りをするのがすごく楽しかったです!大豆をつぶしてきかいに入れてるとこを見て、スーパーに売ってる肉みたいだなと思いました。作り方のせつめいを、ていねいに言ってくれたりして、わかりやすかったです!」 ・「みそ作りを教えてくれてありがとうございました。みそを作るのは、はじめてでドキドキしていたけど、上手に作れました。令和5年10月15日がすごく楽しみです。」 ・「みそは、大豆からできているのは知っているけど、お米と大豆でできているのは、初めて知りました。みそを熟成するのに10か月もかかるということを教えてもらって『10か月もかかるの!』と思いました。完成したら、おみそ汁を自分で作りたいです。」 JA神戸北女性会の方々は、 「今年は昨年度の経験を活かし、簡素化や工夫をして効率化を図れるようになったので、昨年度の学校数よりも多い学校で出前授業を行うことができました。 たくさんの子供たちに会えるのは楽しみなので、来年もまた多くの学校で出前授業を行いたいですね。 今後も、さらに工夫を重ねて、子供たちに分かりやすい授業を行いたいです。」 とおっしゃっていました。 2年目の「出前授業」はJA神戸北女性会のご協力もあり、昨年よりも多くの学校で体験授業を行うことができました。また、昨年の経験を踏まえて、授業の内容を工夫していただき、より分かりやすくスムーズに子供たちが体験できたと思います。 子供たちにとって、みそ作りは大変だったと思いますが、こんな大変なことを、心を込めて作られている女性会の方々のご苦労を知ることができたと思います。だからこそ、おいしいみそができるのだと感じることができたのではないでしょうか。 兵庫六甲JA神戸北女性会(一般社団法人 北神みそ) JAの女性組織が北神地区の地域農産物の消費拡大や地産地消を目的に、昭和58年から同区産の大豆と米を使用し伝統的な手法を用いて、こだわりのみそを製造しています。 また、食育にも力を入れ、毎年たくさんのみそ作り体験を実施されています。 Tweet Share