2023.10.10こうべの食育 「神戸っ子食育応援団」ビーフンを通した食育プログラムの初開催 ケンミン食品株式会社との協働! ビーフンを通した食育プログラムの初開催 ~給食会の食育支援プログラム「神戸っ子食育応援団」~ 神戸市学校給食会の食育支援プログラム「神戸っ子食育応援団」は、今年度から、中学生に向けても本格実施します。 従来の学校教育というと、数学、国語、英語といった教科学習がメインでしたが、昨今では、情報教育、福祉教育、防災教育など、いろんな内容が盛り込まれています。その一つに「食育」があります。食育では、日々の食事や栄養、食品の安全、健康な生活などについて学びます。最近、食品製造に携わる企業が、学校の食育に関わることが増えてきました。 中学生に向けて初の実施である今回は、神戸に本社を構えるケンミン食品株式会社の協力により、太山寺中学校と兵庫中学校の両校家庭科部生徒が合同で、世界の食材「ビーフン」について学習し、プロの味を目指した調理実習に挑戦しました。 実 施 日:令和5年8月8日(火曜日) 実施場所:太山寺中学校 参 加 校:太山寺中学校、兵庫中学校 両校家庭科部生徒25人 保護者5人 協 力:ケンミン食品株式会社 <前半:座学> ケンミン食品株式会社の高垣さんが、食材「ビーフン」について、スライドを用いてわかりやすく説明してくださいました。 普段は、広報のお仕事をされている高垣さん。年に数回、大学などで、ビーフン先生としてビーフンの食材知識やマーケティングの講師をされているそうですが、中学校での講師は今回が初めてとのこと。 「『ビーフン先生』、今風に言うと『ビー先』 慣れたら『ビー先』と呼んで!」 小学校給食で提供される「ぶた肉とビーフンのスープに」 ☆ビーフンの良さ 野菜嫌いの子供でも、一緒に炒めると、簡単に美味しく食べられます。 (神戸市の小学校給食で、スープや炒めものとして提供されるなど、いろんなメニューに使用されています) ☆ビーフンの原料 カタカナで書くと、とかく「ビーフ」と間違われる「ビーフン」。 意外と知らない生徒も多いようですが、ビーフンを漢字で書くと「米粉」。 そう、ビーフンは、お米でできた麺です。 日本のお米(ジャポニカ米)に比べ、細長いインディカ米でできています。 インディカ米 ジャポニカ米 ☆ビーフンの製法 穴の開いた金属プレートが底に付いた金属の筒に、ビーフン生地を入れ、上から押し出す「押出法」。 針のない注射器で「押出法」を分かりやすく説明 「押出法」を体験 「生地がモンブランみたいに出る~」 こんな小さな注射器でも、中のものを押し出すには、ある程度強い力が必要な様子。 実際のビーフン工場では、もっと大きな機械で、ものすごく大きな圧力がかかっているそうです。 ビーフンは、一度蒸して生地をお餅のようにまとめ、押し出した後、もう一度蒸します。 それを乾燥させると、プツプツ切れない強い麺になり、ビーフン独特の香りも出るとのこと。 ビーフンの製法以外にも、ビーフンの起源や初めて日本に伝わった時期、ケンミン食品の創始者のお話、神戸の産業の歴史とビーフンの関わりなど、ビーフンにまつわるたくさんのことを、生徒たちは学びました。 最後には、3種類の麺を見分けるテストが行われました。 講義の中でも少しふれられた通り、はるさめ、くずきりなどは、見た目がビーフンに似ていますが、材料や製法などが明確に違うため、よく見ると色や形状が少しずつ違います。 A、B、C、3つの袋に、ビーフン、はるさめ、くずきりが入っています。 どれがビーフンだか見分けることはできるでしょうか。 「どれがビーフンかなぁ・・・」 見分けられますか? 結果は、全員が正解! さすがは家庭科部の生徒、みごと、ビーフンを見分けられました。 <後半:調理実習> 100%お米でできたビーフンを使用した、本格的な焼ビーフンの調理実習です。 今回は、太山寺中学校、兵庫中学校、両校の生徒が混合で5~6人の班を作り、調理実習を進めます。 また、数名の保護者の方も参加されているため、生徒たちは少し緊張気味。 顧問の先生の提案で、まずは各班で自己紹介。「学年」「名前」と「自分の好きなもの」を話します。 三角巾にエプロンをつけてスタンバイ 自己紹介「好きな動物は・・・」 調理方法は、レストラン「健民ダイニング」で出されているメニューを家庭で再現できるレシピを、高垣さんが実演で伝授してくださいます。 今回の具材は、キャベツ、白葱、人参、ニラ、豚肉。 ここに、普段入れないエビを入れます。 その理由は、太山寺中学校の池田先生が生徒と話した際、「エビが入ったビーフンが食べたい」という意見が出たそうで、それを聞かれたケンミン食品さんの計らいによるものです。 ケンミン食品の方々と太山寺中学校家庭科部のメンバーは、活動に先立って下準備をしてくれていました。 ビーフンのプロが考え、たどりついた美味しさ「パラッと仕上がり、麺の弾力がしっかり味わえる」焼ビーフン作りを目指します。 そんな、おいしい焼ビーフンを作るポイントは3つ。 1.麵をゆでる時は、グラグラ煮立たせず、優しくゆでる 2.ゆでた麵は、しっかり水を切り、一度乾煎り(からいり)する 3.野菜を入れたらあまり触らず香りを出す ビーフンをゆでている間に野菜を切ります。 手慣れた手つきで、次々に野菜を切る池田先生 きれいに切れた野菜 作業を真剣に見つめる生徒たち 野菜を洗う兵庫中学校家庭科部顧問の垣屋先生 ビーフンは乾煎りする 野菜を炒める時は、あまり触らない 焼ビーフンの香ばしい香りが、教室中に広がります 美味しそうな焼ビーフンのできあがり! 揺らしてプルプルするのが、お米の弾力だそうです。 いよいよ生徒が調理。 「焼ビーフンレシピ」で手順を思い出しながら、各班焼ビーフン2人前を、皆で分けます。 ビーフンをゆでる、野菜を洗う、切るなど、それぞれ分担して作業を進めます。 1.ビーフンをゆでる : 麵をゆでる時は、グラグラ煮立たせず、優しくゆでる 簡単にさばいたら、麺の表面に泡がぷくぷくと浮いてくるぐらいの火加減で約4分 料理に慣れていない人は、半分に折ってもOK。炒めやすくなります」 ◆ 野菜を切る 野菜は、麺と同じぐらいの細さに切ると、野菜と麺が分離せず、全体がきれいにまざるそう。 慣れないながらも、丁寧に野菜をカットする生徒たち。お互いに声を掛け合いながら、作業を進めます。 白ねぎは斜め切り、キャベツは短冊切り ニラは3cmぐらいにザクザクと 「もうちょっと細切りちゃう?」 「白葱、どこまで切っていいん?」 お手製の「チラシのゴミ入れ」 2.水をきる : ゆでた麵は、しっかり水を切り、一度乾煎り(からいり)する ゆであがったビーフンは、流水でぬめりを取り、ザルを振らずにしぼって、しっかり水を切ります。 乾煎りは、油をなじませて火にかけ、麺がパチパチという音を立てはじめたら、裏返し、また音を立てはじめたら、また裏がえす。 炊きたてのお米が、粒が立ってくるように、しっとりした麺が、ふわふわっとしてくるそうです。 ビーフンの炒まる音を聞きながら、気長に見守る乾煎り隊の生徒たち。高垣さんも見て回りながら、アドバイスを送られます。 3.具材を炒める : 野菜を入れたらあまり触らず香りを出す 豚肉とエビにある程度火が通ったら、野菜を入れ、全体を混ぜたら、触らない。 あまり具材を触ると、家庭の台所の火力では、フライパンの温度が下がってしまいます。 野菜が少し焼けてきたら、ゆっくりと混ぜ、また触らない。 こうして炒めると香ばしさが出て、仕上がりが全然違うそうです。他の炒め物料理にも応用できそうですね。 ◆ ビーフンと絡めて仕上げる 香ばしい香りが出てきたら、ビーフンを入れ、混ぜます。 「お箸の動きを細かくすると、おいしくなります」と高垣さん。 ビーフンはお米の麺なので、一緒に炒めた具材の香りをよく吸うとのこと。豚肉や野菜の香ばしい香り、うまみをビーフンに移します。 味付けは、パラパラに仕上げる条件である「熱と水分を同時に与えない」という理由から、「粉末」の中華スープと少し控えめの塩コショウ。 全体になじませたら、鍋肌に醤油を垂らして、香ばしさを増します。 「うまくできてるよ~」 ◆ 完成 作業スピードは各班、様々でしたが、全班、無事に焼ビーフンができあがりました! 盛り付けも、エビを上にきれいに乗せる、まんべんなく具材を散りばめる、高く盛るなど、各班こだわりを発揮! 高垣さんも「美味しそうにできてるよ」と声をかけてくださいました。 完成! 大皿から小皿へ 均等に分配 各班の完成した焼ビーフンです。どれも美味しそう!! ◆ 試食 2人前を5.6人で分けますが、お野菜たっぷり。案外ボリュームもありそうです。 美味しくできたかな? きっとおいしいよね! 試食中、ケンミン食品の南さん、青木さんが自己紹介されました。 同じ大学を卒業後、ケンミン食品に入社されたお二人。青木さんは、偶然にも太山寺中学校の卒業生だそうです。 お二人は当日、調理実習をサポートしてくださいました。 高垣さんはじめケンミン食品の皆さま、ありがとうございました。 南さん(左)と、青木さん(右) 試食後は手際よく後片付け。 ケンミン食品のホームページでは、今回作ったビーフンのレシピをはじめ、いろいろなレシピを公開されているそうです。 皆さん、一度作ってみてはいかがでしょうか。今回、調理実習を体験した皆さんは、ぜひ復習を。 ◆ 生徒たちの感想 ・家庭科部は、運動部と違って試合がないなので、他校の人たちや保護者の方と調理実習ができるのは新鮮で、いい機会だった ・ビーフンは、思っていたより調理が簡単だったし、とても美味しかった。またやってみたい ・作る工程を実際に見せてもらって、わかりやすかった。家族にもふるまいたくなった ・他校の方たちと一緒に活動するのは初めてだったが、協力して実習できたと思う。でも、各学校で固まってしまい、作業分担できなかった部分もあるので、次の機会があれば、そこを課題として頑張りたい ◆ 参加された保護者の方の感想 ・ケンミン食品さんのお話は、とても楽しく、分かりやすかった。また、他の料理にも応用できそうな、美味しく調理するコツ等を教えて頂き、参考になった ・中学生になり、コミュニケーションが不足しがちな今、家とは違う娘の一面を知ることができ、楽しそうに部活動をしているようで、嬉しかった 今回は、中学生対象の「食育応援団」(ビーフンについて学ぶ)を、2校の家庭科部が協力して実施するという、あまり経験することのできない活動を、食育と共に経験できたことは、生徒たちにとっても、貴重な体験になったのではないでしょうか。 今後、太山寺中学校と兵庫中学校の家庭科部の活発な活動につながっていけばいいなと思います。 なお、7月15日には、太山寺中学校家庭科部の生徒14人が、今回の取組みに先立って、簡易版焼ビーフンの調理実習を体験しました。 食材の周知と、調理実習過程を組み立てる情報収集のため、8月8日の本番に先駆け、事前調理実習を実施したものです。 当日使用した食材は、予めビーフン自体に味付けがされており、比較的簡単な調理で済みます。 生徒たちにとっても、良い予習となったのではないでしょうか。 Tweet Share