2023.12.14こうべの食育 「神戸っ子農業体験 ル*ル*ルプログラム」稲刈り~飯ごう炊さん 「神戸っ子農業体験 ル*ル*ルプログラム」 稲刈り ~ 飯ごう炊さん 実 施 日:令和5年10月19日(木曜日) 参 加 校:西舞子小学校 3年生 45人 実施場所:神戸市西区櫨谷町(圃場) 6月に西舞子小学校3年生の児童たちがお米の苗を植えました。 その苗が成長して稲になり、収穫の時を迎えました。 今回、西舞子小学校3年生の児童たちは、その稲を収獲し、畑で飯ごう炊さんを実施、炊きたてのお米を食べる体験をします。 当日はお天気にも恵まれ、10月後半とは思えないほど暑い日。 6月に植えた苗は、このとおり、見事に実りました。 稲刈り 小池さんから、稲を刈る時のコツと、鎌の使い方の説明をうけます。 今回子供たちが体験するのは、鎌を使って手で稲を刈る、昔の方法です。 「今はコンバインというすぐれものの機械があって、あっという間に稲刈りができ、便利になりました。 これをスマート農業と言います。今からコンバインで少し稲を刈るので、その様子もみてくださいね。」 小池さんがコンバインで手前の稲を刈り、子供たちの足場を作ってくださいます。 「うわ~!大きい~!」 コンバインで一気に刈り取り 子供たちの足場ができました 小池さん「今日は45人分、頑張って稲を刈りましょうね!」 子供たち「はい!」 稲刈り開始! 2人に対して鎌が1本配られました。刈った稲は小池さんのところまで運び、コンバインで脱穀されます。 1束刈り取るごとに交代するペアもいれば、数ペアでグループを組んで運び係を1人決め、他の人はひたすら刈り取り、ある程度したら交替するというペアもおり、それぞれに考えて役割分担しているようでした。 「どこから刈ろう・・・」 「ここ刈れそう」 「刈れたね~!」 「脱穀おねがいしま~す」 「どんどん刈って、運ぶぞ~!」 「刈った稲、持って行って~」 小池さんに習ったとおり、友達に鎌を渡すときは、刃を向けず、柄の方を友達に向けて渡します。 脱穀作業では、大人もがんばっています 各自、無理せず水分補給などして休憩をとります 赤帽組、白帽組が協力して稲を刈り、「道を作るぞ~!」 落ち穂も大事なお米。皆、一生懸命落ち穂を拾って、たくさん運んでいました。 今日1日、皆が汗だくになって頑張った成果です。 畑一面の稲を、こんなに刈りました! 「よう動いたからお腹すいた~」 稲刈りが一段落したところで、次は飯ごう炊さんです。 飯ごう炊さん 今回は、エンジンオイルの空缶を使った小池さんお手製のコンロを使ってご飯を炊きました。 炭の代りは皆が拾ってきた松ぼっくり、着火剤は学校でためておいた空の牛乳パックです。 小池さんお手製のコンロ 皆が集めてきた松ぼっくりと、空の牛乳パック 小池さんのお話 皆が生まれるだいぶん前の、めちゃくちゃ寒い1月17日、阪神・淡路大震災がありました。電気やガスが止まって皆困っていましたが、それでも人間は食べないと生きられない。そんな時に、どうやって調理しようかと考え出したのが、このリサイクルのコンロです。元はエンジンオイルが入っていましたが、空になってゴミとして捨てるものをもらって、自分で穴をあけ改造して作りました。中にL型のパイプが入っています(この中に松ぼっくりを入れます)。このコンロは、皆の家で使われている電磁調理器や天然ガスコンロなどと同じように使えるので、今回、これでご飯を炊きます。あったら嫌だけど、万が一また阪神・淡路大震災のようなことが起こった時、こんなコンロの作り方を知っていれば、どこかで松ぼっくりを拾って、屋外でも火をおこすことができます。生きる知恵です。 私は、お米を作って売ったお金で生活しているので、今日は皆に、がんばって落ち穂も拾ってもらった(落ち穂も大事なお米なので)。物事にはいろいろ役割があって、必ず必要なことばかりです。だから、今から皆で協力して、おいしいご飯を炊けるようにがんばりましょう。 子供たちは元気に「はい!」 コンロの周りに各自レジャーシートを敷いて、スタンバイ。 あまり火の近くに座ると危ないよ!ある程度の距離を取って、レジャーシートを敷いてね。 拾ってきた松ぼっくりを45個、コンロの煙突の中に入れ、牛乳パックをちぎって着火剤にします。 火は、大人につけてもらいます。 火がつきました お釜をコンロにセット お釜とコンロの間に竹の棒をかませて空気を送り込むことで、火がまわりやすくなるそうです。皆、興味津々 タオルで仰いで 「火がまわれ~」 「見て~!もみ殻をむいてみた」 「一緒に炊いてみよう」 ご飯が炊けるのを待ちます ご飯の炊ける、おいしそうなかおりがしてきました 各自、おかずを持参しているので、ご飯を入れて、お弁当が完成です。 美味しそう~! 「いただきます!」 「おいしい~!」 「おかわりしよっ!」 「私も、おかわり!」 「このお釜のご飯、2人でたいらげるぞ~!」 こんなにきれいに、お釜が空っぽになりました! ご飯を食べた後は、遊びの時間です。 今回も子供たちが、たくさんの生きものを見つけました。皆、虫の種類や特徴など、よく知っています。 カマキリ カエル コオロギ バッタ ムカデ コオイムシ 質問タイムの前に、小池さんから少しお話がありました。 「これから皆、いろんな仕事につくと思うけれど、金メダルを取る人も、ノーベル賞を受賞する人も、皆、必ず食事をします。食べるという事は、生きるためにも、仕事や勉強をがんばるためにも必要なことです。 今日、皆が収穫したお米は、乾燥させたり精米したりして、時間をかけて食べられるようになります。その作業には、たくさんの人が関わっています。これからは、ご飯を食べるときに、作ってくれた、たくさんの人に感謝しながら食べてくれると嬉しいです。」 質問タイムでは、たくさんの質問が飛び出しました。 1.「今日食べたお米の種類は何ですか?」 「今日のお米は、“ひのひかり”です。兵庫県でつくられる18万トンぐらいのお米の中で、1番作られているのが“こしひかり”。2番目が、“きぬむすめ”。“ひのひかり”は3番目ですが、1番お米が膨らむので、飯ごう炊さんに向いています。」 2.「日本中で、お米を作っている人が、どれぐらい、いるのですか?」 「コンバインのような機械がない江戸時代などは、人口1500万人ぐらいに対して、1200万人ぐらいと、ほとんどの人が農家でした。現在は、人口1億3000万人ぐらいに対して、150万人ぐらいが農家と、めちゃくちゃ少ないです。その内の7割が60歳代後半から70歳代です。10年後にはどうなるでしょうか・・・」 3.「お米を収穫した後、どうやって給食にでるのですか?」 「農家の人がお米をつくり、JAさんができたお米を集めます。たくさんある学校へ運ぶ手配をするのが給食会です。たくさんの人の協力があるから、皆が毎日給食を食べられるのです。」 4.「農家の仕事は何年ぐらいしていますか?」 「大学を卒業した後、農業に携わるようになって、今年で23年目になります。でもお米は1年に1回しか作れないので、まだ23回しか作ったことがない。まだまだこれからです。」 5.「どうして、お米農家になろうと思ったのですか?」 「難しい質問やなぁ・・・父から、農家に生まれた宿命やと言われて、重たい言葉やなと思った。もし、就職する時にYouTuberの仕事があったら、YouTuberになっていたかもしれないね。笑」 6.「なぜ、鎌で稲を切る時に、稲の元を2cmぐらい残さないといけないんですか?」 「決まりはないけど、地面すれすれに切ってしまうと、皆よくつまずくので、安全を考えて。それと、鎌が傷まないように。」 7.「何でこんな広い土地で作り始めたのですか?」 「2500平米ぐらいのこの田んぼでとれるお米は、たったの1,300㎏ぐらい。神戸市の学校給食が8万食として皆が1日100gのお米を食べるとすると、毎日8tぐらいいる。全然足りない。だから、たくさんの農地が必要なんです。もっと増やさないとあかんし、もっとがんばって作らないとあかんのかなと思っています。」 8.「どうやってこの、いっぱいあるお米を精米するんですか?」 「今日は残念ながら、時間がなくて精米するところを見てもらえなかったですが、玄米を白米にする機械があるのです。今日、誰かが自分でもみがらをむいて玄米にしていたけど、そのように、外のしっかりしたもみがらを取った中身が玄米。その玄米を精米機にかけると、ぬかが削れて白米になる。 僕が小学生の頃はそんな機械がなかったので、瓶にお米を入れて、棒でトントンついていました。それが、僕が学校から帰ってきてからの仕事でした。今は機械でやるので、皆が精米するところを見る機会がなくなった。だから、また機会があったら見てもらって、その時に説明します。」 皆、お疲れ様でした。お土産のお米を受け取って帰ります。 「ありがとうございました~」 「お土産、持って帰ってね~」 子供たちは、おいしい、おいしいと、自分たちで炊いたご飯をたくさん食べました。給食の時よりも、もりもり食べていたように思います。普段食べ慣れないおこげも、少し苦いけど、おいしいと言いながら食べていました。 日本の農業やお米作りを守るためには、皆がしっかりお米を食べてくれることが大切です。 今回の稲刈り体験で農家の大変さを知り、小池さんのお話で、食べることの大切さを知ったのではないでしょうか。 ★子供たちの感想はこちら イラストも描いてくれました 帰り道では、ススキが風に揺れ、コスモスが可憐に咲いていたのでパチリ Tweet Share