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給食のイチおぃしぃ

牛乳

学校給食に毎日提供される牛乳が、どのように製造され、各学校に届けられるのか、神戸市の、西区以外の学校に牛乳を提供している「共進牧場」を取材しました。その様子を報告します。
最後に、共進牧場の中尾社長より、皆さんへのメッセージをいただきました。

取材日:令和6年9月20日(金曜日)
場 所:株式会社共進牧場

共進牧場について

共進牧場は、兵庫県小野市にあり、広さは約5万坪(東京ドーム約3.5個分)。
敷地内には、牛乳工場、牧場、レストランなどがあります。
創業134年。学校給食には、神戸市の学校給食が始まった昭和32年(1957年)から牛乳を提供しており、今年で67年になるそうです。
工場には、牧場で搾乳(さくにゅう)された生乳(せいにゅう)の他、兵庫県、北海道、九州、四国などの牧場から生乳が運ばれ、毎日約100トンの牛乳が製造されています。

みんなが飲む学校給食用の牛乳は、体が白と黒のまだら模様のホルスタインという乳牛から採れます。
学校給食用の牛乳は、兵庫県産の生乳を60%ほど使用し、搾乳してから3日~5日の、とても新鮮な牛乳が毎日約17万本、兵庫県内の約4割の小中学校に出荷されています。

ホルスタイン

工場見学

ビデオ鑑賞ルーム(見学ルーム)

2年前に、見学ルームとビデオを一新されたそうです。搾乳から出荷までが、分かりやすくまとめられています。

見学ルームには、こんなかわいい顔出しパネルも設置されていました

共進牧場は、学校が休校の土日に牛乳を飲んでもらいたいという取り組み「土日ミルク」に力を入れているそうです。

牛乳の製造工程

乳をしぼる(搾乳)→ 牧場からタンクローリーで運ぶ → 生乳の重さを量る → 検査する → 清浄機で、目に見えないゴミを取り除く → 冷やす → タンクで保管 → 脂肪球(脂肪の粒)を細かくする → 高温で殺菌 → 冷やす → タンクで保管 → 牛乳パックに充填(つめる)→ 検査する → 冷蔵庫で保管 → トラックに積み込み、各学校へ

牛乳の製造工程が、可愛らしいイラストと共に描かれていました。数か所、Q&A形式になっており、QをめくるとAがでてくるという仕組みが施されています。

たくさんの工程を経て、牛乳が学校に届けられるのですね。

(画像をクリックすると、大きな画像が見られます)

Q1

Q2

A1

A2

製造ライン見学

1Fの製造ラインの様子は、2階からガラス越しに見ることができます。
製造ラインは、牛乳ラインが5つ、清涼飲料水ラインが1つ、合計6つあります。製品によってレーンの太さやコンテナが違うそうです。それぞれのレーンに1人ずつ、オペレーターと呼ばれる人がついて、機械が正常に動いているかを確認したり、レーンからはじかれた製品をチェックしたりしています。
学校給食用のミニパックを製造しているレーンもありましたが、金曜日は休校日の前日ということでお休みでした。日曜~木曜であれば、学校給食用の牛乳がレーンを流れてきます。

工場の様子

担当オペレーターが検品

それぞれのレーンで、紙パックの組み立てからコンテナに入れるまでを全て行います。
1.レーン上にある大きな箱型の機械の中で、紙パックを組み立てて中を消毒し、殺菌された牛乳を充填、パックの口をしめる
※牛乳の充填の方法は「ボトムアップ充填式」といい、牛乳が泡立たないように工夫されています

機械でパックの口をしめる

2.賞味期限を印字し、カメラで印字漏れをチェック、ウェイトチェッカーで重さを確認、金属検出器で中に異物が入っていないかなどをチェック
製品に異常があれば、ラインからはじき出され、オペレーターが異常がないかを再確認します。

3.すべてクリアしたら、コンテナに入る
学校給食用の牛乳は現在、ストローレスになっていますが、他の牛乳にはストロー付きの製品もあり、ストローを付ける作業もレーン上で行います。

写真中央のカメラで製品のチェック
異常があれば、レーン外にはじかれる

牛乳パックについて
今年度から、環境にやさしいストローレスパックに変更になりました。ストローレスに対応するため、共進牛乳は、パックの開け口シール部分を開封しやすくし、側面にイラストでの開封方法を掲載することで、こぼすことがないよう工夫しています。
口飲みタイプのパッケージ、みなさん慣れてきましたか?給食で牛乳を飲むときに、開封のしやすさや、イラストの説明など、確認してみてくださいね。

できあがった牛乳は、コンテナごとコトコトとレーンを登って、壁の向こう側にある冷蔵庫へ運ばれていきます。

殺菌室

生乳は、殺菌することで牛乳になります。学校給食用や市販されている一般的な牛乳は、130℃で2秒間、超高温瞬間殺菌して製造されます。130℃と聞くと、沸騰していると思いますが、圧力をかけることで沸騰せずに高温で殺菌することができます。

牛乳の殺菌には、「プレート式熱交換器」という殺菌機を使います。

※プレート式熱交換器とは
中で金属の波板(プレート)が何枚も重なった状態で、そのプレートの間に牛乳を流し込みます。
その際、プレートの外側に130℃以上の蒸気や5℃以下の冷却水を流すことで熱交換をし、段階的に温度を上げ下げします。

温度を上げた牛乳は、まず「ホモゲナイザー」という機械で、大きさがまばらな脂肪球を、同じぐらいの大きさの小さい粒につぶします(均質化)。そうすることで、牛乳の成分が均一になり、栄養の消化・吸収がよくなるそうです。
その後、また殺菌機へ戻り、最終的に130℃で2秒殺菌した後、徐々に冷却します。

プレート式熱交換器

熱交換のイメージ

工場は365日、休むことなく動いています。作業が止まらないよう、すべての作業が終わってから、毎日機械の中を洗浄、滅菌し、次の製造へ備えます。機械の定期点検を年に数回、計画的に行っています。新鮮な牛乳をみなさんに届けるために、時間や手間がかかっていることがわかりました。

サージタンク室

殺菌後の牛乳は、サージタンクで保管されます。オペレーターが機械に指示を出し、パイプを通って、工場の充填機へ運ばれ、パック詰めされます。

左側の丸い筒がサージタンク
牛乳だけで13機ある

検査室

牛乳をはじめ、ヨーグルト、清涼飲料水、アイスクリームなど、工場で製造されるすべての製品がここに集まってきます。
検査は、製造の最初、中間、最後の3段階で行います。異常が発見された場合は製造をストップし、異常個所がなくなるまで次の段階へ進めません。
検査はたくさんありますが、代表的な3つを紹介します。

1. 微生物検査―菌が確実に死んでいるか、賞味期限までに増えていないか
2. 理化学検査―分析機器で成分をはかって数値化し、合格ラインに達しているか
3. 官能検査―簡単に言うと味見。実際に人の舌で、辛味、苦味などの他、のどごしや色などに異常がないか
※官能検査は、社内の厳しい試験に合格した人が、複数人で行う非常に重要な検査。機械ではみつけられない異常でも、人の舌で感知できる場合もある

コンテナの洗浄

フォークリフトで高く積まれた牛乳のコンテナは、機械で自動的にベルトコンベアに乗り、洗浄場へ。洗浄機の手前でコンテナが持ち上がり、1個ずつ中へ入って逆さに回転、ゴミを落とします。逆さのまま高圧洗浄機で洗って工場へ運ばれるので、もしゴミなどが上から落ちてきても、異物が入りにくくなります。
しつこい汚れは人が手洗いをし、もう一度洗浄機へ戻します。
きれいに洗浄されたコンテナは、最終的にオペレーターが異物や汚れがないかを確認し、できたての牛乳などの製品を入れて、また出荷されます。

牛乳のコンテナ
(クレートという)

高く積まれたコンテナ

機械が自動で、コンテナをベルトコンベアに乗せる

洗浄機に入る前のコンテナの列

洗浄機の中でコンテナが回転

牧場とレストラン(見学自由)

工場から少し離れたところに、牧場とレストランがあります。
広い牧場には、約100頭のジャージー牛がのびのびと飼育されています。

創業当時牛舎だったところは現在、レストラン「ミルカーズ」として、牧場を訪れた人の憩いの場になっています。日替わりランチやバーベキューの食事に加え、アイスクリームやソフトクリームなど、共進牧場の牛乳を使ったデザートなどを味わうことができるようです。

ジャージー牛

レストラン「ミルカーズ」

Q&A いろいろな質問に答えていただいたので、いくつか紹介します

Q1 牛乳が苦手です。飲めるようになる方法はありますか?
A1 牛乳の風味や臭いが苦手な人が多いので、できるだけ冷たい状態で飲めば、臭いなどを感じにくく、少しは飲みやすいと思います。試してみてください。

Q2 牛乳を製造していて大変な事は何ですか?
A2 工場の機械の管理や、牛乳など製品の品質管理には特に気をつけています。学校給食用の牛乳は特に、全ての製品の中で、一番注意して検査をしています。
おいしい牛乳を毎日みなさんに届けるため、共進牧場の工場は年中無休で動いています。

Q3 牛乳を製造していて嬉しいことは何ですか?
A3 牛乳を飲んだみなさんから、「美味しかった」「届けてくれてありがとう」などと声をかけてもらえるのが嬉しいです。

Q4 夏休みなどで学校給食がない期間、余った牛乳を別の何かに活用されることはありますか?
A4 一般的に気温が高い夏休みは、牛乳が余ることはありませんが、冬休みや春休みなど少し寒い時期は、全国的に生乳が余ってしまうことがあります。生乳をできるだけ廃棄しないように、脱脂粉乳やバターなどの加工品に使用しています。

共進牧場の中尾社長から、皆さんへメッセージ

取材を終えて

最近では、牛のエサ代や、牛乳パック、配送料が高くなり、牛を飼うのも牛乳を製造するのも大変になりました。牧場を経営する酪農家の高齢化も進み、後を継ぐ人も少なくなりました。そのため、生乳の生産量が減っているそうです。
学校給食で毎日飲んでいる、栄養満点の牛乳がなくなったら、みんなの体の成長にも影響してきます。これからの酪農について、少しみんなで考えてみませんか。
そして、酪農家や工場の方が、安心安全な牛乳を製造するために、毎日大変な作業をして届けられる牛乳は、とても貴重なものです。できるだけ残さず飲みましょうね。

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