現在、神戸市の学校給食では地元で育てたもの（作ったもの）を地元で食べる地産地消を推進しています。生鮮野菜については優先的に神戸市産、兵庫県産の野菜を使用していますが、加工品についても地元で生産されたものを使って製造された食品を提供したいと考えています。
このたびは、兵庫県加古川市、加西市、神戸市西区で栽培された小麦を使い、加古川市の工場で製造された「兵庫県産パスタ」を小学校給食の「スパゲティミートソース」、中学校給食の「スパゲティソテー」の食材として、3月に初めて使用することになりました。

　　日本初！純国産の「デュラム小麦（セトデュール）」

スパゲティなどのパスタに使用されるデュラム小麦といえば、気候に左右されるため、北アメリカ、北アフリカ、地中海沿岸が産地のものが多く、梅雨のある日本での栽培は不可能と言われていました。

どうしても作りたいという製造業者の思いから、比較的梅雨に雨量の少ない加古川市で栽培されることになり、加古川市が国産デュラム小麦の発祥の地で、日本最大の産地です。

加古川市産デュラム小麦「セトデュール」の名前の由来は、瀬戸内海地方の「セト」とデュラム小麦の語源となった硬いという意味の「デュール」を合わせたとのことです。

製品化までの長い道のり

「日本での栽培は不可能」と言われていたデュラム小麦の試験栽培開始後、赤カビ病※1で麦が全滅することや、麦が出来ても麺にするとたんぱく（含有量）が少なく崩れてしまうこと、ゆであがった麺がくっついてしまうことなどがあり、さまざまな試行錯誤を経て、実に５年かけてようやく商品化することができました。商品化後ももっと品質のよい麦の生産を目指して試験栽培を続けておられるとのことです。

※1赤カビ病
麦の開花期に赤かび病菌が穂に感染することによって起こる病害 

「デュラム小麦（セトデュール）」の栽培

11月に種まきを行い、翌年6月に収穫します。収穫後はＷＣＳ（牛の飼料用の稲）※2を植え、ＷＣＳ収穫後、ＷＣＳを食べた牛の堆肥をデュラム小麦の種まき前に肥料として散布することで、循環型の農業を行っています。

※2　WCS
ホール（Whole）・クロップ(Crop)・サイレージ(Silage)の頭文字をとったもので、穂だけではなく、茎や葉も収穫し、フィルムで密閉し発酵させた家畜の飼料のこと 　　

また、デュラム小麦は赤カビ病に大変弱いため、出穂後の天候や害虫、病害に気を付け、品質のよいデュラム小麦を作るため肥料を工夫し、麦踏※3は2～3回行っているそうです。ちょうど冬の今頃も麦踏を行ったそうです。

※3麦踏
霜柱で持ち上がった株もとや周りの土を踏み固め、凍結することで発生する被害を防ぐ効果のほかに、ムギの芽を踏むことにより徒長（植物の茎や枝が必要以上に伸びた状態）を防ぎ、耐寒性を増す効果があるとされる。

現在、耕地面積は47ha、甲子園球場約12個分の広さを10人で栽培されています。

神戸市で栽培されたデュラム小麦も数パーセント含まれています。

昨年までは西区櫨谷町だけで栽培されていましたが、今年からは西区神出町でも収穫が予定されています。セトデュールの栽培は大変難しいため、試験栽培が成功すれば栽培農家も増えていくだろうとのことです。

「デュラム小麦（セトデュール）」の特徴は

外国産の原材料を使用した乾麺に比べるとプリッとした食感ともっちりした食感の２つの食感が味わえます。フレッシュな麦の香りを楽しめます。

令和3年兵庫県認証食品「ひょうご安心ブランド」に認定されました。

製造メーカーの方から子供たちへ

国産のデュラム小麦はほぼ兵庫県産です。

種の生産から国産の安心・安全のデュラム小麦を生産しています。農薬が残っていないか調べる検査を必ず行うなど健康面にも気を付けています。

兵庫県（加古川市や神戸市等）で栽培された日本で初めての純国産デュラム小麦100％のパスタをお召し上がりください。

日本初純国産のデュラム小麦100％のセトデュールを使用したパスタを試食してみましたが、もちもちした食感でとても美味です。神戸では、大手百貨店や一部スーパーでも購入出来ますよ。

製造メーカーでは食育にも力を入れておられ、加古川市の小学校等にパスタの製造について出前授業も行っておられるとのことです。地元生産の安全安心なパスタを製造メーカーが数々の困難を乗り越えて完成させたことを感じながら味わって食べていただければと思います。