酒かす(かすじる) 2021.02.1 2月に神戸市立小学校の給食で、神戸市東灘区で生産された「酒かす」を使った「かすじる」が提供されます。 兵庫県の神戸・西宮地域は、六甲山の湧き水である「宮水」を使った、「灘五郷」と呼ばれる日本酒造りがとても盛んな地域で、日本で一番の生産量を誇ります。 この日本酒(清酒)を造るときにできる副産物が「酒かす」です。 「酒かす」は栄養価が高いことから、神戸では昔から「かすじる」にして食べられており、郷土料理となっています。 「かすじる」は、豚肉・油揚げ・こんにゃく・根菜類など、いろいろな具材をたくさん入れて作ります。食べると体が芯からポカポカと温まります。 給食で使用されている酒蔵では、「酒かす」が年間300トンほど生産されますが、その内の800キロほどが神戸市の学校給食に使用されます。 最近は、酒かすがあまり出ない新しい酒造方法が登場してきました。 そして、日本酒の消費量が減ってきたことにより、食用に適した「酒かす」も減ってきています。 酒かすは、“もろみ”と呼ばれるお粥の状態のものを強い圧力をかけてしぼり、液体(清酒)と分離したあとに残った固形物です。 ◆酒かすの特徴 <味> 熟成していないものは、あっさりとした中にも豊かな味わいを感じることができます。米のコクがあり、ほんのり甘味があります。熟成してくるといろいろなビタミンや酸が増加して、旨味が増します。 <におい> 熟成していないものは果実のような華やかな香りがし、熟成してくると食欲をそそる漬物の匂いがしてきます。 <色> 熟成させる長さによって、白からピンク、そして赤茶色へと変わってきます。 <栄養> 発酵でできた栄養素をはじめ、体によいと言われている成分が600以上もあるといわれています。炭水化物、たんぱく質、脂質・灰分(ミネラル)のほか、ペプチド・アミノ酸・ビタミン、酵母、麹菌と酵母が生み出した100種類以上の酵素も含まれます。また、食物繊維も豊富に含まれています。 <料理方法> かすじるや甘酒には熟成していない白色のものをよく使います。かす漬けや鍋には半年ほど熟成させた赤茶色の濃いものが使われます。 <健康効果> 血圧の上昇を抑える、便秘解消、肥満の予防、美肌・保湿など、他にもいろいろな効果があるといわれています。 ◆給食で使う食材として 酒には多くの種類がありますが、副産物である酒かすも同じくらいの種類があります。その中でも酒かすを食べたことのない子どもたちにもおいしく食べてもらうため、提供する酒かすは、すっきりとした味わいの「大吟醸」の酒かすを選んでいます。 酒かすに含まれるアルコール分は、加熱により除去されます。 学校給食用の食材として使用されることについて、業者の方は、 「酒かすは、古来より日本の風土に深く根付いた食べ物で、発酵食品の持つ素晴らしい能力を持った、健康にも美容にもすぐれた食べ物です。 昔の人々の知恵が受け継がれてきた酒かすを経験してください。」 とおっしゃっていました。 *日本酒造りでは、“作る”ではなく“造る”の漢字を使います。 *灘五郷は、神戸市灘区から西宮市の海側沿いにかけて広がる西郷、御影郷、魚崎郷、西宮郷、今津郷の5つの地域からなります。 *清酒の種類 給食では「大吟醸酒」の酒かすを使います。 ※ 右の表参照 ⇒ Tweet Share