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給食のイチおぃしぃ

もち麦めん

1月24日から30日は「全国学校給食週間」です。子供たちの食生活を取り巻く環境が大きく変化し、偏った栄養摂取、肥満傾向など、健康状態について懸念される点が多く見られる今日、学校給食は子供たちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けるために重要な役割を果たしています。このような学校給食の意義や役割について、児童生徒や教職員、保護者や地域住民の理解を深め関心を高めるために、学校給食週間には全国で様々な取組が行われます。
神戸市の小学校給食では学校給食週間献立として、兵庫の特産食材を使った郷土料理の「もち麦めん」と「かすじる」等を提供します。今回は「もち麦めん」について紹介します。
全国学校給食週間について(文部科学省のページへ)
「かすじる(酒かす)」(「給食のイチおぃしぃ」のページへ)
もち麦めん★神戸市学校給食レシピ(cookpadのページへ)

給食で使用される「もち麦めん」の「もち麦」は兵庫県神崎郡福崎町(姫路市に隣接)で栽培されています。
現在、6営農組合※1と4個人を合わせ、600人以上の方々が栽培に携わっており、耕地面積は約40~50ヘクタール(阪神甲子園球場約10~13個分)あります。
福崎町では、戦後しばらくの間、もち麦を栽培し、黒紫色の麦を粉にして、「だんご」として食べていました。しかし、食生活の変化でパン食が進み、昭和30年代ころからはもち麦を作らなくなっていました。
その後、「福崎町の特産品を作ろう!」と農協・商工会・福崎町の有志が集まり、話し合いをしている中で、「昔、もち麦を作っていたよね?じゃあ、そのもち麦を使って、日本人に親しみやすく、長く食べてもらえるものとして、うどんやそばのような“めん”に加工してはどうだろう?」ということで、昭和62年に試作品ができ、昭和63年に「もち麦めん」が完成しました。

※1 営農組合・・・農業分野では、高齢化や後継者不足などが課題となっていることから、近くに住む人同士(集落)が共同で農作業にあたります。その集落がいくつか集まって組合を作っています。

栽培されているもち麦は、六条大麦のはだか麦という種類で「米澤もち2号」という品種です。「もち麦めん」は手延べ製法であるため、数十種の中から、めんに合う品種を選びました。この品種は福崎町でしか栽培されていません。「米澤もち2号」は、他の品種と違い大きさが小粒のため炊飯しても、ご飯と同じように食べられます。

 
 
 
 

1月頃の少し成長したもち麦

もち麦は米の裏作※2として、米の収穫が終わった11月に種をまきます。寒さと乾燥に強く冬でも成長しますので、ひとつの圃場で米ともち麦の2種類が栽培できます。
裏作をするのには、もうひとつ訳があります。もち麦を続けて栽培すると、連作障害※3が起こるので、米、もち麦、米、もち麦・・・と交互に栽培しているのです。

麦が少し成長した1~2月頃に「麦踏み(むぎふみ)」をします。若芽のうちに踏んで圧をかけることで、根がしっかりと張って株が太く育ち、寒さに強くなる効果があります。昔は足などで踏んでいましたが、今は機械化が進みトラクターにローラーをつけて踏みます。

※2 裏作・・・主とする作物を収穫した後、次の作付けまでの間、その耕地に他の作物を栽培すること。また、その作物。二毛作と同じ意味。
※3 連作障害・・・同一作物(同じ科の野菜)を同じ圃場で繰り返し作り続けることによって生育不良となり、収穫量が落ちてしまう障害のこと。 同じ作物を作り続けると、土壌の成分バランスが崩れるだけではなく、その作物を好む菌や病害虫の密度が高くなるため、微生物に偏りが出てその科特有の病気になりやすい。

4月頃の大きく成長したもち麦

穂に実がつきはじめています

5月後半から6月上旬のもち麦が実った、刈り取り前の状態

もち麦は、収穫時期を見きわめるのがとても重要です。ちょうど梅雨の時期と重なり、収穫時期を逃すと倒れてしまい収穫できないので、いつ収穫できるかを注意して見ていなければいけません。

収穫されたもち麦は、昔からの石臼(いしうす)で粉にし、伝統的な製麺方法で「もち麦めん」を作ります。
手延べの製法で作っていますので、小麦粉だけのそうめんよりも切れやすく、めんになりにくいです。また何回も練り合わせをし、熟成から少しずつ伸ばしているためコシがあり、もち麦の特徴であるもちもち感が生きてきます。給食で食べるときは、このもちもち感と、のど越しを味わってみてください。

<こね>
動力ミキサーでもち麦粉・小麦粉・食塩・水をこねあわせ、生地を作ります。 温度と湿度によって水と時間を調整します。こねあがった生地の表面を整えながら熟成します。

<こなし>
熟成した生地を桶から丸ロール(丸くめん状にする機械:写真奥)を通し、でんぷんをまぶしながら桶に巻き取り、熟成させます。

<掛巻き・小引(かけまき・こびき)>
巻き取っためんを延ばしながら、めん棒2本に8の字を書くように巻きつけ、室(貯蔵庫)に入れて熟成させます。

<門干し(かどぼし)>
さおに掛けて約1.2mまで引き延ばし、めんとめんが付かないように箸でさばいていきます。天井の大型ファンでゆっくり乾燥させます。

<完成>
長さをそろえて既定のサイズに切断し、できあがり!

 

給食献立「もち麦めん

 

製造メーカーの方から子どもたちへ、
「子供たちが安心して食べられるように、頑張って作っていきます。地産地消で少しでも日本の農業の活性化の一助になればと思っています。また、もち麦を食べて元気になってくれればと思っています。」
とおっしゃっていました。

◆もち麦の特徴
・名前の由来
もちもちとした「粘性(ねんせい)」のある麦として「もち麦」と呼ばれています。
・種 類
イネ科オオムギ属
・原産地
紀元前3,000年頃までに西南アジアで栽培化され、その後ユーラシア大陸全土とアフリカ東北部に広く伝わりました。
現在は、主に日本・中国・朝鮮半島などの東アジアで栽培されていますが、最近、健康食品として注目を集め、アメリカやカナダなど他の国でも栽培されています。
・栄 養
水に溶けやすい特性をもつ水溶性食物繊維のβグルカン(ベータグルカン)が、精白米の20倍、玄米の3.2倍も多く含まれているため、整腸作用・糖質の吸収を抑える・コレステロール値の安定など、様々な働きがあります。

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